ノワール小説おすすめ傑作20選 【警察編】

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ノワール文学(小説)を知っている方も知らない方も。「ノワール文学とは」から「おすすめノワール作品」までをご紹介。読めばノワール作品に興味が出る事間違い無し。

國谷正明氏による『ノワール文学(ノワール小説)入門』はこちらから

著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。苦手な調味料はマヨネーズ。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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『ノワール文学入門』目次へ  (全16ページ)

 

このページから第3章です。第3章ではノワール文学(ノワール小説)に興味を持ったという方に向けて4ページに渡りおすすめ作品を

警察編】【裏社会編】【一般市民編】【探偵編

「主人公の職業別」に分類してご紹介していきます。

有名どころからマイナーな作品まで、筆者の独断と偏見で選出しておりますので、中には入手困難なものもあるかもしれませんが、みなさんの素敵な読書体験の手助けとなれば幸いです。

 

このページでは、警察官や保安官といった法の番人を主人公に据えたノワール作品をご紹介します。

 

1 自殺の丘 (ジェイムズ・エルロイ)

タイトル(原題) 自殺の丘(Suicide Hill)
著者 ジェイムズ・エルロイ(James Ellroy)
発表年 1986年
著者出身国 アメリカ合衆国

 

本作「自殺の丘」は「血まみれの月(Blood on the Moon)」「ホプキンズの夜(Because the Night)」に続く、ロイド・ホプキンズ三部作の最終章にあたります。

ロス市警強盗殺人課の部長刑事ロイド・ホプキンズを主人公に据えたこのシリーズでは、すべてを失いながらも狂気じみた執念で犯人を追い詰めていくホプキンズの姿が生々しい筆致で描かれています。

ストーリー上の繋がりが強いので、一作目から順に読んでいただくことをおすすめします。

 

▼ロイド・ホプキンズ シリーズ

発表年 タイトル
1作目 1983年 「血まみれの月」

2作目 1984年 「ホプキンズの夜」

3作目 1986年 「自殺の丘」

 

以下、「Book」データベースより引用。

ロス市内で3人組による銀行強盗事件が続けざまに起きた。

犯人は各銀行を入念に下調べし、不倫進行中の支店長に狙いをつけると、その愛人を人質にとるという手口だった…。

停職処分中のロス市警部長刑事ロイド・ホプキンズは上司に呼ばれ、処分がとけると同時にこの強盗事件の担当を命じられた。ただし、職場はFBIロサンジェルス支部銀行強盗課への出向だった。

調査を開始したホプキンズは、犯人たちに“知性”を嗅ぎ取った。

と同時に彼はこの一件が自分の最後の仕事になると思っていた。市警の上層部が彼を切りたがっていたのだ。そして、市警内の宿敵である上司との最終的対決も予感していた。

『血まみれの月』『ホプキンズの夜』に続くホプキンズ・シリーズ第3弾。

 

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2 血と暴力の国 (コーマック・マッカーシー)

タイトル(原題) 血と暴力の国(No Country for Old Man)
著者 コーマック・マッカーシー(Cormac McCarthy)
発表年 2005年
著者出身国 アメリカ合衆国

 

本作「血と暴力の国」は、全米批評家協会賞や全米図書館賞、ピューリッツァー賞を受賞するなど、現代のアメリカ文学界を代表する作家として名高いコーマック・マッカーシーが著した犯罪小説です。

純文学(娯楽性よりも芸術性に重きを置いた文芸のジャンル)系の作家というイメージが強いマッカーシーですが、本書の他にも「チャイルド・オブ・ゴッド(Child of God)」や「ブラッド・メリディアン(Blood Meridian)」といった作品において、人間の暗部を容赦なく描ききっています。

 

▼チャイルド・オブ・ゴッド

▼ブラッド・メリディアン

 

本作は、老保安官「ベル」ベトナム帰還兵「モス」冷酷な殺人者「シュガー」という三人の登場人物の視点で進行しますが、老保安官ベルが実質的な主人公であると解釈し、こちらのページにてご紹介させていただきます。

 

以下、「Book」データベースより引用。

ヴェトナム帰還兵のモスは、メキシコ国境近くで、撃たれた車両と男たちを発見する。麻薬密売人の銃撃戦があったのだ。

車には莫大な現金が残されていた。モスは覚悟を迫られる。

金を持ち出せば、すべてが変わるだろう…モスを追って、危険な殺人者が動きだす。

彼のあとには無残な死体が転がる。この非情な殺戮を追う老保安官ベル。

突然の血と暴力に染まるフロンティアに、ベルは、そしてモスは、何を見るのか―

“国境三部作”以来の沈黙を破り、新ピューリッツァー賞作家が放つ、鮮烈な犯罪小説。

 

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3 鬼警部アイアンサイド (ジム・トンプスン)

タイトル(原題) 鬼警部アイアンサイド(Ironside)
著者 ジム・トンプスン(Jim Thompson)
発表年 1967年
著者出身国 アメリカ合衆国

 

本作「鬼警部アイアンサイド」は、1967年から1975年にかけてアメリカで放映されていた刑事ドラマ「鬼警部アイアンサイド」のノヴェライズ(映画やドラマなどを小説化すること)です。

テレビドラマの設定に準拠しながらも、ジム・トンプスンらしい要素が随所に現れており、ノワール色は薄いながらもトンプスンファンには堪らない警察小説となっています。

 

ジム・トンプスン

1906-1977。暗黒小説の巨匠として高い評価を得る。スタンリー・キューブリック監督の『突撃』の脚本も手がけている。

 

以下、「Book」データベースより引用。

何者かが放った一発の銃弾がサンフランシスコ市警察の敏腕刑事ロバート・アイアンサイドから下半身の自由を奪ってしまった。

だがその手腕を見込んだ警察は、彼を顧問として迎え、手足となる三人の部下を与える。車椅子を駆り、卑劣な犯罪との闘いの日々は続く…

謎めいた脅迫事件、有力者の息子が起こした轢き逃げ事件、そしてアイアンサイドの部下マークが関わる傷害致死事件。

鬼警部を窮地に追いこむ事件の連続、その背後でほくそ笑む黒幕とは?人気TVシリーズをもとにノワールの巨匠が書き下ろしたオリジナル・ストーリー、ついに登場。

 

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4 タルタロスの審問官(フランク・ティリエ)

タイトル(原題) タルタロスの審問官(Train D’enfer pour Ange Rouge)
著者 フランク・ティリエ(Franck Thilliez)
発表年 2007年
著者出身国 フランス

 

「タルタロスの審問官」はフランス人作家フランク・ティリエによるミステリ小説です。

トマス・ハリス(William Thomas Harris III)が著したサイコ・サスペンスの名作「羊たちの沈黙(The Silence of the Lamb)」を彷彿とさせる残酷な描写が強く目を引きますが、一方で古き良きロマン・ノワールの香りも色濃く漂っています。

 

羊たちの沈黙

精神科医ハンニバル・レクターという猟奇的な殺人を犯していく物語。殺害した人の臓器・肉を食べることから「人食いハンニバル」とも呼ばれる。

 

続編となる「七匹の蛾が鳴く(Deuils de miel)」も併せて読んでいただくことをおすすめします。

 

▼七匹の蛾が鳴く

 

以下、「Book」データベースより引用。

パリ警視庁警視シャルコの妻が誘拐された。シャルコは必死に愛する妻の行方を追うが、杳として知れない。

そんなとき、ある女性の惨殺死体が発見される。ロープで緊縛された上、皮膚をフックにかけて宙づりにされ、さらには眼球をくりぬかれた見るも無惨な死体。

そして明くる日、捜査の担当となったシャルコの元に、「気に入ってくれたかい?」と題されたメールが届き…。

ノワールの新星が描く、奈落よりも深い闇の世界。

 

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5 フィルス(アーヴィン・ウェルシュ)

タイトル(原題) フィルス(Filth)
著者 アーヴィン・ウェルシュ(Irvine Welsh)
発表年 1998年
著者出身国 イギリス

 

本作は、映画と原作小説がともに大ヒットを記録した処女作「トレインスポッティング(Trainspotting)」の著者アーヴィン・ウェルシュによる三作目の長編にあたります。

 

処女作 「トレインスポッティング」

第2作目長編 「マラボゥストーク」

 

実験的な作風で文学界に衝撃を与え続けてきたウェルシュの作品の中でも、本書は特に下劣で実験的な作品であるといえます。

ノワールはおろか警察小説の枠に収まらない前衛的な小説であるため、読み手を大きく選びますが、ノワール文学の可能性を力づくで押し広げた問題作として、無視することのできない一冊です。

 

以下、「Book」データベースより引用。

人生はゲーム、勝者はただひとり、それはおれ。

哲学的サナダムシを腹に宿した無敵のスコットランド人刑事ブルース・ロバートソンは、警部補に昇進するため、同僚刑事たちを陥れる裏工作に余念がない。

そこに殺人事件が発生するが、捜査は難航。果たして真犯人の正体は。

ロバートソンは昇進レースを勝ち抜き、妻子を取り戻せるのか。凍てつく十二月のエディンバラを舞台に繰り広げられる、前代未聞の極悪警察ミステリー。

鬼才アーヴィン・ウェルシュの代表作にして、英国で55万部突破の大ベストセラー。

 

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次のページでは著者がおすすめする「裏社会」がテーマになったノワール小説をご紹介していきます。

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著者:國谷正明

北関東在住の1児のパパ。フリーランスのライターとして、ゲームのシナリオや小説の執筆、記事作成を中心に活動しています。趣味は作曲と爬虫類飼育。好きな作曲家はエリック・サティ。好きな映画監督は深作欣二。好きなアニメはスポンジボブ。好きな学問は民俗学。苦手な調味料はマヨネーズ。敬愛する作家はジム・トンプスン。いいにおいのする文章を書こうと日々苦心しています。お問い合わせはこちらから
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