ハラハラする落語!おすすめ演目25選

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落語の演目数は数えきれないほど。そんな落語をいざ聴こうと思っても何を聴いたらいいかわからない・・・そんなあなたに好みにピッタリと合った落語演目をご紹介!落語を聴く上で知っておくといい知識も大公開!読めば落語にハマる事間違い無し!!

『読んで楽しい落語の演目と知識 ~人気の演目から泣ける演目まで~』はこちらから!

著者:なかむら治彦

本業は4コマ漫画家兼イラストレーター。学生時代から筋金入りの落語ファン。1998年「第1回新作落語大賞」に落語脚本を投稿し、大賞を受賞。その後は「尾張家はじめ」のペンネームで落語作家兼ライターを副業に。現在、隔月パズル雑誌『漢字道』(イード)で落語4コマを連載中。著書は『落語まんが寄席』(新星出版社)他。

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『落語の演目と知識』目次へ  (全10ページ)

 

落語の味わい方の一つに、純粋にストーリーの展開だけを楽しむ方法があります。

形式は読み聞かせや朗読と似ていますが、落語では、しゃべりながら顔を左右に振ってキャラクターを演じ分けたり(この動作を「上下(かみしも)を振る」と言います)、少しだけ仕草を加えたりして、ちょっとだけ演技も加えます。

朗読と一人芝居の中間といった所でしょうか。

 

 

演者の口から大量に発し続けられる言葉と、ほんの少しの演技をもとに情景を思い浮かべて、ストーリー展開に一喜一憂するというスタイルは、エンタテインメントの少なかった江戸時代に庶民が娯楽を求めて寄席に集った頃から続く、落語本来の楽しみ方なのでしょう。

このページでは数ある落語の中から、短編小説のような卓越したストーリーを持つ、ハラハラドキドキ系の落語をいくつかの項目に分けて紹介してまいりましょう。

 

おすすめ怪談噺

 

ハラハラドキドキ系落語の中で最もお馴染みなのは、怪談噺(かいだんばなし)です。

最近はテレビや市民ホールなどで一年中「怖い話」を聴けるようになりましたが、昔はもっぱら夏の寄席の風物詩でした。また歌舞伎や講談の方でも怪談は不動の人気ジャンルです。

「近代落語の始祖」と呼ばれた三遊亭円朝(さんゆうてい えんちょう)が、江戸末期から明治初期にかけて『牡丹燈籠(ぼたんどうろう)』を始めとする数々の長編怪談噺を発表したのが、落語における怪談噺のスタートです。

この時誕生した円朝の怪談は、現代でも多くの落語家さんに語り継がれています。

 

「近代落語の始祖」三遊亭円朝

円朝は三味線や太鼓などを使う歌舞伎を真似た「芝居噺(しばいばなし)」で人気となりましたが、明治時代になると政府により寄席での演劇などの行為は禁止になりました。

そこで円朝は道具を使う噺を弟子に譲り、現在のような「扇子1本を使う喋り」を中心とした「素噺(すばなし)」というスタイルを確立しそれまでの落語の常識を変えてしまいました。この素噺が現在の落語の元になっているので三遊亭円朝は「近代落語の祖」と呼ばれています。

▼初代 三遊亭円朝

 

その円朝作品の一つが、金に困った男と死神が出会う落語『死神』(海外作品の翻案によるアレンジ)です。

ロウソクを人の寿命に例えた不気味なクライマックスと、男のロウソクが消えるラストシーンの余韻が恐ろしさを際立たせています。

 

1.牡丹燈籠

~あらすじ~

とある内気な美男子がいた。家から出ず本ばかり読んでいたがある日、知り合いの誘いで「美人を見に行こう」と誘われある家に訪れる。そこでとても美人なお露と出会う。すると二人はお互いに一目ぼれ。「また会いに来てくれなければ死んでしまう」とお露に言われた美男子・・・

~概要~

「四谷怪談」「皿屋敷」と並び日本の三大怪談として知られる。長編の噺とそれらを短くまとめた短編噺がある。

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2.死神

~あらすじ~

あるところに失敗が続いてお金が尽きてしまい自殺をしようとしている男がいた。そこへ自らを「死神」と称する老人が現れる・・・

~概要~

初代 三遊亭圓朝がグリム童話を翻訳して作られた噺と言われる。

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幽霊や妖怪が出てくる落語はとても種類が多く、すべては紹介しきれません。

中にはコミカルな演目もありますが、『死神』に匹敵する「和製ホラー」の代表的演目として、『もう半分』『一眼国』『仔猫』『藁人形』などをお勧めしておきます。

 

3.もう半分

~あらすじ~

とある夫婦が営むお酒を飲めるお店に老人が毎日訪れる。毎日その老人は1合の半分を注文し、飲み干すと「もう半分」と言って1合の半分を注文して飲む・・・

~概要~

初代 三遊亭圓朝作の怪談噺。

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4.一眼国

~あらすじ~

諸国を歩いて巡っている男がある日香具師(屋台のテキや)の家に泊まった。その香具師は珍しい人間を捕まえて見世物小屋を開こうと思っていたので旅の道中で珍しい人間を見なかったか、と聞く・・・

~概要~

江戸(東京)の落語。

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5.仔猫

~あらすじ~

顔があまり良くないお鍋という女中が船場(大阪の商業地区)に働きに来る。顔は悪いが仕事はできるし、良い人だとお店で人気者になる。しかしある日誰かが「お鍋には怪しいところがある」と言い出す・・・

~概要~

桂枝雀の持ちネタとしても有名。

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6.藁人形

~あらすじ~

ある娘がぐれて家を飛び出す。男と駆け落ちするが、しばらくして故郷に帰ると両親は死んでいた。どうしようもなく、女郎になり苦しい日々を過ごす・・・

~概要~

オチ(サゲ)は諺から来ている。

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江戸の裁判劇を描いた演目

 

ハラハラドキドキ系の落語で、怪談噺と同じくらい現代人にも馴染みのあるものと言えば、奉行所が舞台の「お裁き物」と呼ばれる落語でしょう。

奉行所の造作や様式は、テレビの時代劇などで時々登場しますからご存知の人も多いと思います。

 

 

ストーリーの方も、事件に巻き込まれた被害者が奉行所に訴え出て、人情味のあるお奉行様に白黒をつけてもらうという、明快で分かりやすい展開です。

聴き終えた後も爽快感が得られるため、落語初心者でハラハラドキドキしたい人にはうってつけです。

代表的演目には、『三方一両損』『帯久(おびきゅう)』『大工調べ』『小間物屋政談』『鹿政談』『てれすこ』『五貫裁き』(別題『一文惜しみ』)等々あります。

この中でお勧めの落語を選ぶならば、面白さでは大岡越前の有名な逸話が登場する『三方一両損』、ハラハラドキドキ度では勧善懲悪のモデルパターンのような『帯久』が一聴の価値ありです。

 

7.三方一両損

~あらすじ~

とある左官職人が金の入った財布を拾う。財布には持ち主が分かるものが入っており財布を返しに行くが元の持ち主は江戸っ子で「一度は無くなったと思ったもの。受け取れない」と言う。しかし拾った左官職人も江戸っ子、「俺も受け取れない」として奉行所の裁判沙汰になる・・・

~概要~

奉行の大岡越前が登場する。

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8.帯久

~あらすじ~

ある呉服屋の主人、とても温厚な人柄に加えてお店も繁盛していた。それとは対照的に近くの呉服屋の主人、性格に難がありお店も流行っていなかった。そんな時はやっていなお店の主人が流行っているお店の主人にお金を借りに行く・・・

~概要~

大岡越前が裁く「大岡政談」と呼ばれる演目の一つ。

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他にも、お裁きによる事件解決シーンは出てきませんが、『佐々木政談』(別題『佐々木裁き』)『天狗裁き』『次の御用日』『松山鏡』などの演目にもお白洲(江戸時代に奉行所が置かれた場所)の場面が登場します。

それほどかつては「お裁き物」がポピュラーなジャンルだったのです。

ちなみに、タイトルに「政談」または「裁き」と付くのがお裁き物の目安ですが、『唐茄子屋政談』は現在お白洲のシーン(奉行所のシーン)がカットされていますのであらかじめご注意を。

 

9.佐々木政談

~あらすじ~

名奉行として知られる佐々木信濃守が民衆の生活を見ようと街を歩いていた。すると子供達が奉行ごっこをしている。しかもそのうちの1人が佐々木信濃守を名乗って遊んでいる・・・

~概要~

佐々木信濃守は1850年頃に活躍した奉行。上方(関西)で演じられる時にはオチ(サゲ)が変わる。

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10.天狗裁き

~あらすじ~

ある日寝ていた八五郎は妻に起こされる。妻に「どんな夢を見ていたんだい?」と問われるが「夢など見ていない」と言う。そこから喧嘩になってしまう・・・

~概要~

元々上方(関西)の演目。途中まで『羽団扇』という演目と展開が同じ。

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11.次の御用日

~あらすじ~

とあるお店の丁稚(使用人)が食事をしていると主人の娘のお供で出かけてほしいと頼まれる。しぶしぶ食事を中断しお供をして歩いていると前から大男が歩いてくる・・・

~概要~

別題『しゃっくり政談』『しゃっくり裁判』。

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12.松山鏡

~あらすじ~

両親が死んでから18年間墓参りを欠かしたことが無い男・正助がお上の目にとまって褒美をもらえることになった。しかし欲の無い正助は何もいらない、父親の顔を一目でいいから見るだけでいい、と言う・・・

~概要~

元の話は、古代インドの説話集から。

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13.唐茄子屋政談

~あらすじ~

とある道楽男が家族から勘当され、友人からも見放されてしまい自殺を図る。そこへ男の叔父が通りかかり思いとどまらせる。叔父はさらに食事まで振舞ってやり、男は「改心する。叔父の言う事は何でも聞く」と言う・・・

~概要~

別題『唐茄子屋』。唐茄子=かぼちゃ

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おすすめサスペンス演目

 

古典落語というと「長屋で会話するだけのノンキな話でしょ?」と先入観で考える人がいるかもしれませんが、どうしてどうして。

そのまま映画のプロット(ストーリー)に使えそうなサスペンス味を帯びた落語だってあるのです。

もっとも落語には映像がありませんから、スケールが大きくなるかどうかは聴く人の想像力次第なのですが。

そんなサスペンス落語には、アクション・犯罪・ホラーなど、いくつかのバリエーションがあります。

 

アクションものでは、豪雪の中を火縄銃で狙われながら逃走する途中、崖から激流に転落するクライマックスが大迫力の『鰍沢』(かじかざわ)

たいこ持ちが金欲しさに番傘をパラシュート代わりにして飛び降り、さらに崖の下からとある方法を使って瞬時に戻る大技を見せる『愛宕山』(あたごやま)

鷺(さぎ)の群れと一緒に大阪上空を飛び回り、四天王寺の屋根から降りられなくなって大騒動になる『鷺とり』(さぎとり)

田舎の医者が山中で大蛇に呑まれる『夏の医者』などが有名です。

ちなみに『鰍沢』は前述の三遊亭円朝が考案した作品です。

 

14.鰍沢

~あらすじ~

とある旅人が大雪に見舞われてしまいある一軒の家へたどり着く。そこには美人な女性がいて酒を振舞われる。聞けば女性は元々遊廓の出身で主人は漁師だと言う・・・

~概要~

成立には諸説ある。元々は江戸(東京)で演じられていた演目。

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15.愛宕山

~あらすじ~

とある二人の幇間(ほうかん:お座敷などで場を盛り上げる芸人)がいた。主人がある日ピクニックに行こうと言い、舞妓などと一緒に愛宕山(あたごやま)まで出かけた・・・

~概要~

元々は上方(関西)の落語。

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16.鷺とり

~あらすじ~

ご隠居さんが働かない道楽男へ説教をしようとしている。しかし仕事のことを聞いてもはぐらかしてばかり・・・

~概要~

別題『雁釣り』(かりつり)『雁とり』。後半の展開が異なる演目に『商売根問』というものがある。

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17.夏の医者

~あらすじ~

とある農夫が夏の暑い日に倒れてしまう。困った農夫の息子がお見舞いに来ていた叔父に医者の場所を聞く。医者は山を越えた隣の村にいるという・・・

~概要~

上方(関西)で完成して江戸(東京)に持ち込まれた演目。

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犯罪サスペンスものでは、主人公の平兵衛が誤って殺害してしまった村の庄屋の亡骸を使って、証拠隠滅と金稼ぎをしてしまう『算段の平兵衛』

吉原で遊んだ男が店の付き馬(代金の取立人)をまこうとして知恵を絞る『付き馬』が代表例です。

 

18.算段の平兵衛

~あらすじ~

とある村の年老いた男がお花という妾を囲っていた。しかし妻にバレてしまい別れる事に。そこでお花のことを思って「算段の平兵衛」と呼ばれる人間関係の仲裁などを生業にしている男へ嫁がせる・・・

~概要~

3代目 桂米朝が復刻した演目。

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19.付き馬

~あらすじ~

とある男が吉原の前に立っている。吉原で働く男性従業員が見かけて声をかけたところ「この店に貸した金を集金に来たのだが明日まで待ってくれと言われてしまって困っている」と言う・・・

~概要~

別題『付け馬(つけうま)』『早桶屋(はやおけや)』

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そしてホラーサスペンスものでは、ばくち打ちの男に飼われた猫が、殺された主人の復讐をする『猫定』

ひょんなことから肩に武蔵坊弁慶の人面疽(じんめんそ)ができた男が、次第に弁慶に体の自由を奪われてゆく『こぶ弁慶』などがあります。

ここに挙げたものは、どれを取っても聴き応えたっぷりの名作落語ばかりですが、個人的には、サスペンスの中に笑いが随所に盛り込まれた『16.鷺とり』がおすすめです。

 

20.猫定

~あらすじ~

とある魚屋。しかし大の博打好きだった。ある日居酒屋で一杯やっていると2階で音がする。博打でも行われているのかと店主に聞くと「泥棒猫がいるので縛って転がしている」と言う・・・

~概要~

舞台は東京の噺。

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21.こぶ弁慶

~あらすじ~

伊勢神宮のお参りから帰った喜六と清八が大阪へ帰る途中に宿へ泊る事になった。そこの宿で番頭をからかったりしながらもお酒を飲んでいると突然「化け物が出た」と飛び込んできた男がいた・・・

~概要~

別題『大津の宿瘤弁慶』。喜六と清八は上方(関西)落語の主要キャラクター

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おすすめドンデン返し演目

 

さてお次は、先ほどのサスペンス系落語ほどダイナミックな場面転換こそ無いものの、ストーリーのドンデン返しやミステリアスな展開が見事な名作落語の数々ご紹介します。

まず『はてなの茶碗』(別題『茶金』)。一攫千金を狙いたい油屋の男が、京都一の古道具屋に売った安物の茶碗がとんでもなく高価な品になる話。この高くなっていく過程が一番の聴き所です。江戸時代の京都というのがヒントになるかも…。

 

22.はてなの茶碗

~あらすじ~

ある油屋の男が茶屋で休憩をしていると評判のいい茶道具店の男がある茶碗を「はてな?」という目で見ており、買わずに帰っていった。油屋の男はその茶碗をさぞかし良い茶碗なのだろうと思い2両で購入する・・・

~概要~

江戸(東京)では『茶金』の題で知られる。

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続いて『蒟蒻問答』。江戸から上州(今の群馬県)に来た遊び人の男が、地元の蒟蒻屋の六兵衛の世話で寺の僧侶になり、そこで諸国行脚(しょこくあんぎゃ:諸国を歩いて回ること)の僧と禅問答をするはめになる話。クライマックスは言葉でなく身振り手振りになりますので、映像かライブでお楽しみあれ。

 

23.蒟蒻問答

~あらすじ~

江戸から上州(今の群馬県)に来た遊び人の男が、地元の蒟蒻屋の六兵衛の世話で寺の僧侶になり、そこで諸国行脚(しょこくあんぎゃ:諸国を歩いて回ること)の僧と禅問答をするはめに・・・

~概要~

2代目 林屋正蔵が作った演目と言われる。

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次が『大山詣り』。長屋の一行で登山をした帰りの宿で暴れた熊さんが、罰として頭をツルツルに剃られた腹いせに、一行にとんでもない仕返しを挙行する話。まるで最近のテレビのドッキリ番組みたいなラストが待ち構えています。

 

24.大山詣り

~あらすじ~

長屋の一行で登山をした帰りの宿で暴れた熊さんが、罰として頭をツルツルに剃られた腹いせに、一行にとんでもない仕返しを挙行する・・・

~概要~

元の話は狂言の演目。

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そして『盃の殿様』。廓噺(くるわばなし=色街の落語)は人間ドラマの宝庫とも言えますが、その中でも格別に異質な、吉原通いにはまる殿様の話です。

登場人物のキャラクターの濃さもありますが、実際に殿様が行列を組んで吉原に通うなんてことはありえませんから、ドラマはまったく予想もつかない展開に進んでゆきます。個人的には一番のおすすめです。

 

25.盃の殿様

~あらすじ~

子供の頃から甘やかされて育った殿様。運動不足、精神的にもあまりいい状態でなくなった。しかし薬も苦いので飲みたくない、という有様。そんなある時ひょんなことから一度も行った事のない吉原に興味を持つ・・・

~概要~

六代目三遊亭円生が十八番にした演目。

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他にも、気になるキーワードを見つけたら是非一度聴いてみてください。

 

ベストシチュエーション

 

最後に、ハラハラドキドキ系ストーリーの落語を聴くにあたって、ベストのシチュエーションをお教えしましょう。

山あり谷ありの展開をじっくり聴き入りたいという人には、市販のCDやDVDをおすすめします。まずはタイトルで検索して、過去の名人の高座をじっくり堪能しましょう。

故人の落語家さんの中では、三遊亭円生(さんゆうてい えんしょう)師匠、立川談志(たてかわ だんし)師匠、桂米朝(かつら べいちょう)師匠など、状況描写が抜群に優れた名人たちで聴いてみてください。

 

▼三遊亭円生

▼立川談志

▼桂米朝

 

またその一方では、こうしたストーリーの激しい落語を、寄席や落語会などのライブ口演で聴けた時の感動と快感は、何者にも替えがたいものがあります。

まさしく一生ものの記憶になると言っても過言ではありません。

先ほどの『盃の殿様』ではありませんが、生の落語にやみつきになる落語ファンというのは、そうした一期一会の感動経験を何度も何度も積み重ねた結果なのです。

もちろんライブですから、100%の確率で名演に出会える訳ではありません。

しかし、寄席や落語会の集客動員が年々増加しているということは、現在こうしたやみつき人口が増加している証拠でもあるのです。

 

以上、ハラハラドキドキさせるストーリー展開の落語演目でした。

次のページでは涙を流す人も続出するドラマチックな落語演目を紹介します。

『落語の演目と知識』目次へ  (全10ページ)



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著者:なかむら治彦

本業は4コマ漫画家兼イラストレーター。学生時代から筋金入りの落語ファン。1998年「第1回新作落語大賞」に落語脚本を投稿し、大賞を受賞。その後は「尾張家はじめ」のペンネームで落語作家兼ライターを副業に。現在、隔月パズル雑誌『漢字道』(イード)で落語4コマを連載中。著書は『落語まんが寄席』(新星出版社)他。

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落語で恋愛!?感動する演目24選

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たとえ落語を聴いた経験が無い人でも、好きなドラマの1本や2本は必ずあることでしょう。

そんな人は落語を「耳で感じて、頭の中で映像を想像するドラマ」と捉えてみてください。グッと親近感が出てくるはずです。

落語にもドラマと同様、いろいろなストーリーが存在します。

このページでは、男女の「恋愛」を扱った落語の数々を、いくつかの項目に分けて紹介してまいりましょう。

 

若い二人の恋模様が描かれた演目

 

古典落語の舞台となる江戸や明治の頃、男女の恋愛は今ほどオープンでなくて、恋する異性のことを考えて一人思い悩む若者も多かったようです。

その結果、ノイローゼ状態から鬱に陥り寝込んでしまうことを、昔は「恋わずらい」と呼びました。

落語で恋わずらいがストーリーの発端となる代表的なお話が『崇徳院』(すとくいん)です。

大店の若旦那が花見の名所で出会った娘に一目惚れして、その娘が短冊に百人一首の崇徳院の歌の上の句だけ書いて若旦那に渡すことから始まる、ドラマチックな内容です。

 

1.崇徳院

~概要~

元々は上方(関西)の落語。後に東京でも演じられるようになった。

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この他、恋わずらいが出てくる落語に『紺屋高尾』(こうやたかお)『幾代餅』(いくよもち)『胆潰し』『宇治の柴舟』などがあります。

 

2.紺屋高尾

~あらすじ~

とある紺屋(染物屋)の職人。26歳になっても遊び一つ知らず真面目に仕事をする好青年。しかしある日寝込んでしまう。親方が調べたところ「恋わずらい」だということがわかる。しかも相手は高尾太夫(遊廓の最高位の女性)だと言う・・・

~概要~

浪曲(三味線とともに語られる芸)でも演じられる演目。

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3.幾代餅

~あらすじと概要~

『紺屋高尾』との違いは、主人公の久蔵の勤め先とラストに開店する店の業種だけで、基本的には同じ内容の落語。『紺屋高尾』を演じる一門と『幾代餅』を演じる一門という具合に、落語家の系統によって分かれる。

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4.胆潰し

~あらすじ~

とある男が病気で伏せっている友人の家に見舞いに行く。聞けば「恋わずらい」だと言う。相手は呉服屋の娘・・・

~概要~

「肝をつぶす」とは大きく驚く、という意味。

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5.宇治の柴舟

~あらすじ~

とある男が病に伏せっている。薬も効かず、医者が言うには「胸に何かが詰まっている」と。気心知れた仲の友人が聞き出すとやはり「恋わずらい」。その相手は掛け軸に描かれている女だと言う・・・

~概要~

上方(関西)でよく演じられる演目。

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その他にこうした若い男女の恋愛がテーマの落語を探すと以下の3つの演目が有名です。

 

6.宮戸川

~あらすじ~

ある日、半七が将棋を友人と指していて遅くなってしまい家から閉め出しをくらう。そこへカルタを友人と遊んでいて同様に家から閉め出しをくらったお花とばったり出会う・・・

~概要~

宮戸川は現在の隅田川の浅草周辺の流域と言われる。別題『お花半七馴れ初め』『お花半七』。

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7.花見小僧

~あらすじ~

とある店の娘が年頃になったので店の主人が婿を迎えようとするが娘は一向に応じない。そんな時、店の者と娘ができている、という噂を聞く・・・

~概要~

『おせつ徳三郎』という噺の前半部分。

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8.お若伊之助

~あらすじ~

とあるおかみさんの美人な1人娘が一中節(いっちゅうぶし:浄瑠璃の一つ)を習いたいと言い出す。習う事になったのはいいが教えにくる者が伊之助という26歳の男。まだ18歳の娘がおかみさんは心配になる・・・

~概要~

別題『因果塚由来』。

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一方では、奉公に入ったばかりの娘めがけて商家の男連中が夜這いをたくらむ『引っ越しの夢』(別題『口入屋』)や、村一番のマドンナに男が夜這いを仕掛ける『お玉牛』(おたまうし)なんて落語演目もありますが、いずれも失敗に終わるのが落語らしい所です。

 

9.引っ越しの夢

~あらすじ~

とあるお店に口入屋(職業紹介所)から美女が女中として訪れる。今までお店は間違いがあってはいけないと美女を断っていたのだが番頭の差し金で美女が来るようにしておいたのだった・・・

~概要~

上方(関西)では『口入屋』(くちいれや)という演目名で呼ばれる。

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10.お玉牛

~あらすじ~

堀越村の男たちが集まって美女の女中、お玉のことを話している。そこへ乱暴者の源太がやってきて、今お玉に会って来たと言う・・・

~概要~

別題『堀越村のお玉牛(ほりこしむらのおたまうし)』『堀越村(ほりこしむら)』。

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夫婦を描いた落語

 

落語では若者の恋愛ドラマだけでなく、幅広い年代の恋愛模様が描かれています。

既に紹介した『宮戸川』が10代の若い恋愛ならば、

20代の婚礼の夜を描いたのが『たらちね』、

蜜月の空気感漂う若夫婦を描いたのが『目薬』、

臨月(妊娠後期)の女房が出てくるのが『町内の若い衆』、

倦怠期の夫婦が出てくるのが『堪忍袋』、

女房が亭主を尻に敷く熟年夫婦を描いたのが『鮑のし』…と続きます。

そしてさらに、お互い年を重ねた老夫婦が登場するのも、最初に紹介した『宮戸川』なのです。

若い二人を見ながら自分たちの若き日を思い出す場面では、笑いの中に人生の深さを感じられると思います。

 

11.たらちね

~あらすじ~

独り身の八五郎の元へ大家さんが縁談を持ちかける。聞けば器量良しの若い女だがいかんせん話し方が丁寧すぎて何を言っているか分からないらしい。いざ八五郎が会ってみて、挨拶をされたがちんぷんかんぷんで・・・

~概要~

『垂乳女』と書いて『たらちね』と読む。『たらちめ』とも。上方では『延陽伯』というタイトルで呼ばれる。

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12.目薬

~あらすじ~

ある職人が目の病になって仕事ができず食うに困る事に。そんなある日妻が薬屋に行って目薬を買ってくる。しかし説明書の字が読めず・・・

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13.町内の若い衆

~あらすじ~

とある職人の男が親方の家に行ったが親方はおらず、親方の妻だけがいる。親方の妻と話すがとても良い女性。職人は自分の妻と比べて情けなく感じてしまう・・・

~概要~

元々は1690年の笑話本にあった噺だが噺が原話から変わっていない珍しい落語演目とされている。

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14.堪忍袋

~あらすじ~

ある喧嘩の絶えない夫婦を見かねた大家さんが中国に伝わる故事を言い聞かせる。その故事では喧嘩をしそうになった男が「水がめ」に向かって叫びたい事を叫ぶ、というもの。そこで夫婦は嫌な事があると「袋」に向かって相手の悪いところを叫んだ。すると気持ちが爽快になる・・・

~概要~

喜劇脚本家の益田太郎冠者氏が作った新作落語。

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15.鮑のし

~あらすじ~

おめでたい男、甚兵衛(関西では喜六)がお腹を空かして帰り嫁さんに言うと「ご飯が食べたければお金を50銭借りてこい」と言われる。何とか借りて帰ると、その金で鯛を買い大家さんにプレゼントをして1円をお返しでもらってこい、と嫁さんに言われる。しかし甚兵衛が50銭で買えたのは鮑(アワビ)だけだった・・・

~概要~

別題『鮑貝(あわびがい)』『祝いのし』。オチ(サゲ)にはいくつかのバリエーションがある。

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年代だけではありません。

酒に溺れる亭主を女房の尽力で更生させる『芝浜』

江戸時代、生活に困った夫婦が「蹴転(けころ)」という最下級の女郎屋を始める『お直し』

一度別れた夫婦が子供をキッカケによりを戻す『子別れ』(別題『子は鎹』)

など、様々なシチュエーションの夫婦愛を、落語では扱っているのです。

これらもおすすめですので一度聴いていただければと思います。

 

16.芝浜

~あらすじ~

とある魚屋、腕はいいが酒飲み。酒が原因で仕事で失敗ばかりしていた。そんなある時大金の入った財布を拾う。あろうことかその金で飲み明かしてしまう。泥酔して帰り夜が明けると妻が「金も無いのにそんなに飲んで」と言う。そこで拾った財布のことを言うと「どこにそんな財布あるんだい?」と言われる。あったはずの財布がなくなっている・・・

~概要~

人情噺(感動する落語演目)の定番中の定番。

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17.お直し

~あらすじ~

年をとった花魁と若い客引きが恋に落ちる。しかし遊郭で同業者の恋はご法度。そこで花魁は引退し二人は無事に夫婦生活を始める・・・

~概要~

元々あまり誰もやっていなかった演目だが五代目 古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)が復活させた演目。

▼五代目 古今亭志ん生

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18.子別れ

~あらすじ~

あるところに仕事の腕はいいが酒と女が好きな夫がいた。ある日我慢できなくなった妻は子供を連れて家を出ていってしまう・・・

~概要~

別題『子は鎹』『強飯の女郎買い』など。よく知られる落語演目。

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傾城(けいせい)の恋を描いた落語

※傾城(けいせい)・・・かつては美人のことをこう呼んだ。落語では花魁(おいらん)・遊女のこと。

 

落語で男女の関係がテーマとなるもう一つの舞台が、遊廓やお茶屋が並ぶ色街(いろまち)。今風に言うと歓楽街(かんらくがい)です。

呼び方は廓(くるわ)・遊里・遊び場・岡場所など演目によっていろいろです。

「傾城の恋はまことの恋ならで 金持ってこいが本の恋なり」

(訳:遊廓の”恋”は本当の”恋”ではなく、お金を持って”来い”が本当の意味である)

と狂歌にもあるように、本来は大人が疑似恋愛を楽しむ場所なのですが、色欲と金銭欲が渦巻く世界だけに、これまた様々な人間ドラマの溜まり場になっています。

 

こうした場が舞台の落語は「廓噺(くるわばなし)」と呼ばれ、名作も目白押しなのですが、その中から現代にも通じるドラマ性を含んだ演目ということで、先ほども名前の出た『紺屋高尾』を筆頭に、『たちきり』(別題『立ち切れ線香』)、『三枚起請』(さんまいきしょう)、『文違い』、『品川心中』の5作品をおすすめしておきましょう。

いずれも比較的演者の多いポピュラーな演目ですので、どんな恋愛が繰り広げられているか、試しに聴いてみてください。

 

 

19.たちきり

~あらすじ~

とある真面目な男が花街へ行く。そこにいた芸者に惚れてしまい、働いていたお店のお金にまで手を付けてしまう。困った親族や番頭たちがその芸者に会わせなくするよう企てる・・・

~概要~

別題『立ち切れ線香』『たちぎれ』など。元々上方(関西)の落語。

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20.三枚起請

~あらすじ~

とある遊び人の男が友人に、ある花魁(おいらん)から「遊女を辞めたら貴方と結婚する」という起請文(きしょうもん=誓約書)をもらったと自慢する。しかしその自慢された友人も、同じ花魁から同様の起請文をもらっていた・・・

~概要~

元々は上方(関西)の落語演目が江戸に持ち込まれた。

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21.文違い

~あらすじ~

とある女郎が「父親に20両貸してくれとせがまれて困っている」と客に金をねだる。しかしその客は20両も持ち合わせていない。すると他の客に「母親に20両貸してくれとせがまれて困っている」と金をねだる・・・

~概要~

江戸(東京)で多く演じられる演目。

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22.品川心中

~あらすじ~

品川で働くある女郎が金が無くて馬鹿にされるのを嫌がり死ぬことを決意する。しかし一人で死ぬのは嫌なのでなじみ客のうちのぼーっとしているある男を選び死のうとする・・・

~概要~

品川の遊廓が舞台の噺。オチ(サゲ)にはいくつかのバリエーションがある。

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こんな恋愛シチュエーションも…

 

恋愛をテーマにした落語は、まだまだあります。とはいえ全部挙げていくといつまでたっても終わりませんので、ここではジャンルと演目名だけ列挙します。

名前だけでも覚えて、何かの折に聴いてみてください。

 

・【伴侶の死】がテーマの落語

『三年目』『短命』『樟脳玉』『反魂香』(別題『高尾』)など

・【愛人・妾】がテーマの落語

『三軒長屋』『星野屋』『権助提灯』『権助魚』など

・【ジェラシー】がテーマの落語

『夢の酒』『悋気の独楽』『悋気の火の玉』『汲み立て』など

・【浮気・間男】がテーマの落語

『庖丁』『紙入れ』『風呂敷』『つづら』『駒長』など

 

名作恋愛落語【新作】

 

ここまでにご紹介したのは、すべて江戸や明治が舞台の古典落語です。

 

現代が舞台の新作落語の場合、感動ドラマよりもコメディ色が強くなる傾向が強いため、昭和期に生まれた落語で恋愛ドラマ仕立ての作品はほとんど存在しませんでした。

しかし平成期に入り、落語界全体で新作の創作が盛んになりだしてからは、恋愛ドラマばりに叙情的で感動を招く落語が何本も生まれたのです。

 

平成期の新作落語創作

三遊亭円丈・春風亭昇太・柳家喬太郎・三遊亭白鳥・林家彦いち・立川志の輔・桂三枝(六代目桂文枝)・笑福亭仁智などにより新作落語が平成で多く作られ、ブームになった。現在もその下の世代も含めて新作落語の創作は盛んに行われている。

 

中でも柳家喬太郎師匠が作った『純情日記横浜篇』は、同じバイト先で働く女性をデートに誘えない男性の切ない恋愛模様が描かれた傑作です。

 

▼柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)

 

23.純情日記横浜篇

~あらすじ~

同じバイト先で働く女性をデートに誘えない男性の切ない恋愛模様・・・

~概要~

既に作者の喬太郎師匠から何人もの後輩落語家に口伝され、早くも古典化しつつある。

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同じく喬太郎師匠の、年老いた男が昔好きだったハワイ在住の女性に会いに行く『ハワイの雪』も、名作の誉れ高い感動ストーリーです。

 

24.ハワイの雪

~あらすじ~

年老いた男が昔好きだったハワイ在住の女性に会いに行く・・・

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ベストシチュエーション

 

最後に、恋愛ドラマの落語を聴くにあたって、ベストのシチュエーションをお教えしましょう。

恋愛にまつわる落語は、できれば等身大のストーリー楽しみたいものです。自分の年齢と近い登場人物が出てくる落語なら、より一層共感できるはずですから。

特に夫婦の落語の場合、ご自身の年代とリンクする落語から聴くことをお勧めします。もし結婚間もない二人がうっかり倦怠期夫婦の落語など聴いたりしたら、どんよりした気分になりかねません。

 

そしてもう一点。ドラマ性のあるしっとりとした内容の落語は、なるべく音響の整った会場でじっくり腰を据えて聴きたいものです。

具体的には東京で言えば有楽町の「よみうりホール」、池袋の「東京芸術劇場」、虎ノ門の「ニッショーホール」、小さい所では中野の「なかの芸能小劇場」とか、要は演劇舞台をやる会場ですね。他にも都内および近郊では、数多くのホールが落語公演に使用されています。

逆に音響が整っていない会場というのは、地方の体育館とか、文化会館の和室とか、飲食店など、本来演劇をやる場ではない場所のことです。

 

東京のおすすめ寄席スポットは別Webon『落語初心者入門』で紹介しています! 東京のおすすめ寄席スポットは別Webon『落語初心者入門』で紹介しています!

 

ホールでの落語会は事前に演目のタイトルが発表されることが多いので、チケット販売サイトなどを検索すれば見つかる可能性が高いでしょう。できれば2枚購入して、落語デートに使ってみるとよいかもしれません。

 

▼チケット販売サイトの例

チケットぴあ

 

若い二人のデートならば演者さんは達者なベテラン落語家さんよりも、若手~中堅の落語家さんの若々しい声で聴いた方が、より共感できて強く印象に残る気がします。

もちろんベテラン落語家さんの話芸にもベテランならではの技術と妙味がありますけどね。

 

以上、恋愛が題材になっている落語を紹介しました。

次のページでは聴いているだけでハラハラドキドキする落語を紹介していきます。

『落語の演目と知識』目次へ  (全10ページ)



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目次著者

著者:なかむら治彦

本業は4コマ漫画家兼イラストレーター。学生時代から筋金入りの落語ファン。1998年「第1回新作落語大賞」に落語脚本を投稿し、大賞を受賞。その後は「尾張家はじめ」のペンネームで落語作家兼ライターを副業に。現在、隔月パズル雑誌『漢字道』(イード)で落語4コマを連載中。著書は『落語まんが寄席』(新星出版社)他。

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