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モータースポーツを観たことがありますか?F1もモータースポーツの一つですがF1以外にも面白いレースはいくつもあります。ルールはもちろん、走る場所・スピード・マシンも違うのです!
「モータースポーツ観戦初心者入門2 ~有名レース編~」はこちらから!
著者:河村大志
関西在住のフリーランスライター。モータースポーツ関係の記事作成、企画立案、取材などを中心に活動しています。幼少期に実家にあるF1のVHSを見てモータースポーツに心を奪われる。出版社での経験もなく、いきなりフリーランスになるという暴挙に出るも、モータースポーツに対する情熱は誰にも負けない自信がある24歳。趣味はモータースポーツ観戦と音楽鑑賞とギター(下手くそ)。モータースポーツの魅力を様々な側面からお伝え出来ればと思っています!
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twitter【河村】https://twitter.com/taishikwmr?lang=ja
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第5章では国内外の有名な「4輪耐久レース」についてご紹介していきたいと思います!
サーキットなどの舗装された道路の上で行われるレースなのはスプリントレースと同じなのですが、決められた時間内に走り切った周回数を競うのが耐久レースです。
ここでは「FIA耐久世界選手権(WEC)」というレースについてご紹介致しましょう!
▼モータースポーツの種類
FIA耐久世界選手権(WEC)
▲FIA世界耐久選手権(WEC)の様子 photo by David Merrett
WECとは、FIA世界耐久選手権の略称で、2輪の耐久レースでもご紹介した「ルマン24時間レース」の4輪版を含む耐久レースの世界選手権です。
ルマン24時間は2輪(バイク)もありますが、4輪(クルマ)の方が有名で歴史も長いのです。
ルマン24時間レース(2輪)について詳しくは第3章で!(このページは第5章)
ルマン24時間レース以外の8戦は6時間で行われます。WECは4つのクラスに分かれており、各クラスでチャンピオンシップを争います。
4輪のスプリントでも紹介した「スーパーGT」というレースは2つのクラスが混走して盛り上がる、と言いましたが、なんとWECでは4つのクラスが混走します。(順位はそれぞれのクラスで決まります)
混走すればスピード差があるので、思わぬ接触も起こります。
違うクラスのクルマを抜かしながらのバトルは観ていてワクワクドキドキ!耐久レースでも毎周激しいバトルが繰り広げられるのが魅力です!
さて、WECの4つのクラス(カテゴリーとも言います)について簡単にご説明致しましょう!
まずはWECのカテゴリーで一番速いマシンが走るクラスがLMP1と呼ばれるクラスです!
FIA耐久世界選手権(WEC)のクラス
▼FIA耐久世界選手権(WEC)のクラス
クラス名 |
特徴 |
LMP1 |
メーカーチームが参加 |
LMP2 |
プライベーターのみ参加 |
LM GTE |
LMP1・2と比べると遅い |
LMP1クラス
▲LMP1の様子 photo by Kevin Decherf from Nantes, France – TOYOTA GAZOO Racing – Toyota TS050 Hybrid #5 CC 表示-継承 2.0
このクラスはメーカーチーム(トヨタなどの自動車メーカーのチーム)が独自開発した車両でエネルギー回生システム(普通車で言えばハイブリット車)を搭載したクローズドカー(F1とは違い屋根が付いているクルマ)で行われるカテゴリーです。
しかし2016年にはアウディ、2017年にはポルシェと、LMP1に参戦していた自動車メーカーが撤退していまい、残った自動車メーカーは日本のトヨタだけになっていまいました。
ということで今年(2018年)からは回生システムを搭載していないプライベーター(非メーカーチーム)も参戦できるようになりました。
メーカー直属のチームは使えるお金も開発能力もプライベーターとは桁が違います。
大企業では使えるお金、人の数が豊富で、開発する施設もありますが、個人ではそうもいきませんよね。
こういう背景もあり、トヨタとプライベーターの性能差を少なくする規則も作られています。
今年のLMP1クラスは10台のエントリーです。トヨタは年間チャンピオンに輝いたことはありますが、「ルマン24時間」のレースだけはまだ勝てていません。
2016年にはゴールまであと3分というところでマシンがトラブルでストップしてしまうという悪夢があり、勝てませんでした。
▼2016年のトヨタがトラブルを起こした時の様子
あと3分、残り一周での悲劇、信じられない瞬間でした。ゴールするまでわからない、これがモータースポーツ 、これが耐久レースなんだなと改めて感じる瞬間でした。
このあと大逆転で優勝した宿敵ポルシェがトヨタを讃える場面があります。スポーツの美しい瞬間でもあり、お互いリスペクトしているライバル関係に感動しました。
▼トヨタチームを称えるポルシェチーム
このようにどれだけ速くてもミスもあればアンラッキーに巻き込まれることもあります。
レースに「絶対」という言葉はないのです。
ポルシェの撤退によりライバルがいなくなったトヨタ。しかしルマン制覇を叶えるために今年も闘うことをトヨタは決めました。
トヨタが悲願のルマン制覇を成し遂げるのか、はたまたプライベーターが勝ってしまうのか大注目です!
LMP2
▲LMP2の様子 photo by David Merrett
LMP1の次に速いクルマが参戦するのがLMP2と呼ばれるクラスになります。
主にプライベーター(非メーカーチーム)が参戦するカテゴリーになります。
マシンの見た目はLMP1と似ていますが、コスト制限が設けられているなど、マシンの性能差が非常に少なく、毎戦どのチームが勝つかわからないエキサイティングなクラスになっています。
24時間レースでも、レースが終わってみれば1位と2位の差はたったの2〜3秒だったこともあるくらいです。
常にバトルが続くカテゴリーなので、観る側はワクワク、レースをしている側はヒヤヒヤといった感じでしょうか(笑)
LM GTE-Pro・LM GTE-Am
▲LM-GTEのマシン photo by Ford Motor Company
これまでご紹介したLMP1とLMP2のクラスは「プロトタイプ」と呼ばれるレース専用のクルマですが、残りの2クラスは私たちに馴染みがある形のマシンです。
クラスの名前は「LM GTE-Pro」(エルエム ジー・ティー・イー プロ)と「LM GTE-Am」(エルエム ジー・ティー・イー アマ)です。
LM GTE-Proクラスはメーカー直属のチームがエントリーしており、専属ドライバーが最新のクルマで参戦します。
一方LM GTE-Amクラスはプライベートチームが最新型ではなく型落ちのクルマで参戦するクラスです。
名前通りプロフェッショナルクラスとアマチュアクラスという分け方になっています。
これまた激しいバトルが繰り広げられるクラスで、常にLMP1、LMP2クラスに抜かさせながらレースしていく、スリリングなカテゴリーです。(WECは混走なのでLMP1・LMP2も同じコースでレースしている)
LMP1クラスに参戦しているドライバーによると、あまりのスピード差にGTクラスのクルマが止まっているような感覚になるそうです。
それほどの速度差があるので抜く側も抜かせる側も大きなリスクがあり、6時間、24時間気が抜けないのす。
ただ観ている私たちファンにとっては長時間でも興奮しっぱなしのレースなんですよね(笑)
WECは日本で観られる!
WECにはF1と同じように日本でレースが開催されます!
F1は三重県の鈴鹿サーキットですが、WECは静岡県にある富士スピードウェイで行われます。
霊峰富士の麓にあるサーキットで行われる6時間耐久レースは、毎年ドラマが起こる見逃せないレースです!
▼富士スピードウェイサーキット
photo by merupapa CC 表示-継承 3.0
もちろん富士では毎年日本の自動車メーカーであるトヨタの応援で盛り上がります!
そしてトヨタは富士に強く(この会場で強く)、毎年優勝を飾っています!その乗り上がりは言葉にできないほどです!
言葉にできないのでぜひ体感してほしい!!!
耐久レースは楽しみ方が沢山あります。富士スピードウェイで行われるWEC富士6時間レースでも多くのお店が軒を並べ、楽しいイベントがたくさん!
▼WEC富士6時間レースの表彰台
photo by Takayuki Suzuki Some rights reserved
レースを見るのもよし、イベントに参加するもよし、カメラ片手にカッコいいクルマたちを写真に収めるもよし、お腹が空いたらご当地グルメで腹ごしらえ!テントを張って家族でキャンプを楽しみながらレース観戦するなど耐久レースは楽しみ方がいっぱい♫
今年のWECで皆さんも各々楽しめる観戦スタイルを見つけてみてはいかがでしょうか!
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関西在住のフリーランスライター。モータースポーツ関係の記事作成、企画立案、取材などを中心に活動しています。幼少期に実家にあるF1のVHSを見てモータースポーツに心を奪われる。出版社での経験もなく、いきなりフリーランスになるという暴挙に出るも、モータースポーツに対する情熱は誰にも負けない自信がある24歳。趣味はモータースポーツ観戦と音楽鑑賞とギター(下手くそ)。モータースポーツの魅力を様々な側面からお伝え出来ればと思っています!
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