モーツァルト「きらきら星変奏曲」 初心者にもわかりやすく解説

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「クラシック音楽」と聞くとなんだか難しそうで敷居も高い。でもクラシック音楽を作っている作曲家だって人間です。面白いエピソードもたくさんあるんです。有名曲と作曲家を知りクラシック音楽を楽しみましょう!

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著者:めーぷる

国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから

 

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<まずは聴いてみよう!>

クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!

今回は「きらきら星変奏曲」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。

 

 

今回はモーツァルトの作品「きらきら星変奏曲」について紹介いたします。「きらきら星」と言えば、誰もがそのメロディーを聴いたことがあることでしょう。

この曲はあの有名なメロディーが「モーツァルトの自由奔放な感性によって次々と変幻自在なアレンジが繰り出されていく」という非常に親しみやすく、面白味のある曲です。

それではモーツァルトの魔法が繰り出す世界に足を踏み入れてみましょう♪

 

モーツァルト

▲ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト

 

モーツァルトは18世紀半ばにオーストリアのウィーンで生まれました。

 

ウィーン
クラシック音楽が盛んなオーストラリアの首都。ベートーヴェン・シューベルト・モーツァルトなど多くの作曲家が活躍し「音楽の都」とも呼ばれる。

 

3歳から現在のピアノの原型であるチェンバロという楽器に初めて触れます。

▼チェンバロ

 

モーツァルトは幼いころから音楽の才能を如何なく発揮し、国王の前で演奏会を行うなど早くからその名声を手にしました。

 

しかし、彼が秀でていたのはその演奏技術だけではありません。彼は5歳の時に初めての作品を制作し、その後は作曲の面でも大きな活躍を遂げます。

彼が制作する曲の一番の特徴は、彼の感性の豊かさが存分に発揮されている事です。

まるで幼い子供の視点に立っているかのような穢れのないクリアーな楽曲を数多く生み出しました。

 

今回の「きらきら星変奏曲」も彼の感性が遺憾なく生かされた作品です。

 

 

きらきら星

 

「きらきら星」というのは、もともと「きらきら星」という名前ではありませんでした。もともとの曲はフランスで流行していた恋のシャンソン(歌)で、特に題名はありませんでした。

 

きらきら星にはいくつもの歌詞が作られていき、その中の一つが

「ああ、お母さん、あなたに申しましょう (“Ah! vous dirai-je, maman”) 」

です。

これこそ正式な「きらきら星」なのです。

それをモーツァルトがピアノ用に編曲したのが、「きらきら星変奏曲」です。

 

きらきら星変奏曲

「変奏曲」とは

 

多くの方は「変奏曲」というワードを耳にしてもあまりピンと来ないのではないでしょうか。

「変奏」とはテーマ(主題)の部分をもとにその旋律(メロディー)は変化させずに、リズムや拍子を変化させたり、装飾音を付けたりすることです。

 

「変奏」をさらに噛み砕いて説明!
モーツァルトバージョンの「きらきら星変奏曲」だとアレンジが加えられており、きらきら星の「き~ら~き~ら~ほ~し~よ~♪」という馴染みのあるメロディはそのままに、急にテンポが早くなる部分があったりすると思います。これが「変奏」です。実際に聴いてみれば「変奏とは何か」が理解しやすいかと思います。

 

「変奏曲」とはそのような変奏を繰り返して進行して成り立っている楽曲のことです。

どの変奏でも必ずテーマの旋律が保たれたまま進行していくことが特徴です。

この変奏曲という形態はモーツァルトの他にもハイドンやシューマン、リストなどといった多くの偉大な作曲家が採用しています。

 

 

変奏曲というのは当時、練習曲としての意味合いが強かったので、技術的にも難しいものが多くなっています。

練習曲というと、つまらないものとして敬遠されがちですが、多くの人が練習曲として楽しく弾くことができるように、当時の作曲家たちは変奏曲のテーマとしてきらきら星のような簡単なメロディーを用いることが多かったようです。

 

「きらきら星変奏曲」の構成

 

きらきら星変奏曲の冒頭はまず、テーマ(みなさんがよく耳にするあの有名な箇所)から始まります。

そしてその後変奏の部分が始まり、全部で12の変奏が次々と繰り出されていきます。

また、この曲の変奏で重要な特徴として、長調(明るい曲調)の変奏だけでなく、短調(暗い曲調)の変奏も含まれているということが挙げられます。

 

変奏曲では基本的に同じ旋律を基調とした変奏が続くため、必然的に明るい曲調のみ、もしくは暗い曲調のみが続くことが多いです。

どの変奏もきらきら星の旋律(メロディー)だと「今は明るい曲調」「今は暗い曲調」と簡単にわかるようになっているので、聞いている人も楽しみやすい構成となっています。

 

きらきら星変奏曲の魅力

 

きらきら星変奏曲の魅力というのはなんといっても、あの有名な「きらきら星」の旋律を変幻自在に姿を変えながら進行していく面白さにあるでしょう。

次々と繰り出される変奏に思わず、モーツァルトの感性・発想力の豊かさに唸ってしまうことでしょう。

また、演奏する側にとっても、きらきら星変奏曲は練習曲として有用な曲です。楽しみながらピアノを上達させることができるという点でも非常に価値のある曲なのです。

 

 

このように「きらきら星変奏曲」を少し掘ってみてから聴くと今までとは違う聴き方ができると思います。是非もう一度聴いてみていただければと思います。

 

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著者:めーぷる

国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから

ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」 初心者にもわかりやすく解説

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「クラシック音楽」と聞くとなんだか難しそうで敷居も高い。でもクラシック音楽を作っている作曲家だって人間です。面白いエピソードもたくさんあるんです。有名曲と作曲家を知りクラシック音楽を楽しみましょう!

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国立大学医学部で大学生活を楽しみつつ、プログラマーとライターの仕事も手掛けています。幼少期からピアノとヴァイオリンを習っており、クラシック音楽、ジャズ、洋楽と幅広いジャンルの音楽に親しんでいます。趣味は幅広く、音楽の他にもバドミントン、スキー、スポーツ観戦、海外ドラマ、料理、カフェ巡りなど多岐にわたります。お問い合わせはこちらから

 

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<まずは聴いてみよう!>

クラシックの名曲を通じてクラシック音楽の魅力を学んでいきましょう!

今回はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番」です。最初に音楽を聴いてから、記事を読むことでクラシックへの理解が増すことでしょう。また、聴きながら読むことでさらに理解が増すのでおすすめです。

【第1楽章】

【第2楽章】

【第3楽章】

 

 

このページでは作曲家ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」についてご紹介していきます。

ラフマニノフの協奏曲第2番は聞いたことがあるという人と言うのは多いはずです。

なぜなら4年前のソチオリンピック。フィギュアスケート・女子フリーで浅田真央選手がショートプログラムの失敗をものともしないような迫真の演技を見せたのを覚えているという方も少なくないでしょう。

その時浅田真央選手がフリースケーティングのプログラムとして用いた曲こそ、「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番」だったのです。

▼ソチ五輪の浅田真央選手

photo by David W. Carmichael CC 表示-継承 3.0

 

そのほかにも、テレビのBGMやCMとして用いられている場合も多いので、意識せずとも聞いたことがあると言う方も少なくないでしょう。

 

セルゲイ・ラフマニノフ

 

ラフマニノフは19世紀後半から20世紀にかけて活躍したロシアの作曲家です。

ラフマニノフはピアニストとしても活躍しており、彼の手は大きいうえ柔軟性も極めて高かったためおよそ12度、つまりドからソまで届いたという伝説の持ち主としても有名です。

 


※ドから1オクターブ上のソまでは約37センチ

 

ラフマニノフはその類稀な才能と自らの恵まれた手を武器にピアニストとして大きな成功をおさめ、あの「フランツ・リストに匹敵する」という声すら上がるほどのピアノの名手でした。

 

フランツ・リストとは
フランツ・リストはオーストリア出身の音楽家・作曲家。10歳の頃にはすでに自分でコンサートを開くなど、幼い時からピアノの演奏において神童ぶりを発揮していた。

10代でベートーヴェンからもその実力を絶賛。リストの入った浴槽の水を欲しがる程の熱狂的なファンも出現したという逸話も。

▼フランツ・リスト

 

そんな彼は非常に有名な曲を残していますが、彼の残している曲というのは彼が生きている時代には評価が大きく二分されてしまっていたというのもまた事実です。

彼の残した名曲の数々は彼の死後になって再評価されたものというのも少なくないのです。

そのような死後再評価された彼の作品の中の一つが今回ご紹介している「ピアノ協奏曲第2番」なのです。

 

 

ピアノ協奏曲第2番

「ピアノ協奏曲」とは

 

クラシック音楽の曲にはさまざまな形態がありますが、その中の一つに「ピアノ協奏曲」というものがあります。

ピアノ協奏曲とは簡単に言えば「1人で演奏するピアノが他の楽器と協力して奏でる」曲になります。

ピアノ協奏曲の場合、ソリスト(1人で演奏する人)用のピアノがオーケストラの前に設置されており、オーケストラの伴奏(補助的な演奏)に合わせて、ソリストが旋律(メロディー)を奏でていくという形態が基本になります。

 

▼ピアノ協奏曲の様子(一番前にいるピアノの奏者が「ソリスト」)

photo by Justin Ruckman from Charlotte, NC, USA – Rachmaninov Piano Concerto No. 2, Mvt. I CC 表示 2.0

 

ピアノ協奏曲の中にはオーケストラがメロディーを、ソリストがピアノで伴奏をするという場合もあるのですが、基本的にはソリストの奏でる旋律(メロディー)がメインで楽曲が進行していくと考えて差し支えないでしょう。

 

 

ピアノ協奏曲の魅力はなんといってもピアノとオーケストラの抜群のコンピネーションが織りなす「掛け合い」にあるということができます。

この「掛け合い」について説明すると少し長くなってしまうので初心者の方はとりあえずここま理解しておけば十分でしょう。

 

「ピアノ協奏曲第2番」の構成と魅力

 

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は第1楽章、第2楽章、第3楽章の3つから構成されています。

 

第1楽章は荘厳な雰囲気のなかで進行していきます。

▼「ピアノ協奏曲第2番」第1楽章

 

重厚感のあるメロディーはロシア正教(ロシアのキリスト教の一つ)の鐘の音をモチーフにしています。

第2楽章では第1楽章とは打って変わって、甘美なメロディーで情感たっぷりに進行していきます。

▼「ピアノ協奏曲第2番」第2楽章

 

第3楽章では自由奔放な性格と叙情的(じょじょうてき:情緒溢れるものを感じること)な性格が入り乱れながら早いテンポで小気味良く進んでいきます。

▼「ピアノ協奏曲第2番」第3楽章

 

 

この曲は伝統的な3楽章構成をとっています。

ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番は極めて技巧的な箇所が多く、演奏家としても一流であったラフマニノフの技巧に匹敵するテクニックが要求され、ピアノ曲の中でも屈指の難曲です。

 

また、ラフマニノフのピアノ協奏曲というのはラフマニノフが20代前半の時に作曲されました。

ラフマニノフがピアノ協奏曲第2番を制作した時はラフマニノフはまだ作曲家として駆け出しの時期でした。

そのため、ピアノ協奏曲第2番というのはラフマニノフにとっては処女作と位置付けることのできる作品なのです。

当時は批評家たちの酷評に晒されることも多くありましたが、その後その魅力が再認識され、今日では名曲として親しまれています。

 

 

さて、このページではラフマニノフのピアノ協奏曲第2番について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

今までこの曲のことを知っていた人も、そうでなかった人も、今回の内容を踏まえて聴くことで新しい世界が開けてくることでしょう。

是非、多くのクラシック音楽に触れていただければと思います。

 

 

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