『女性のための日本酒初心者入門』目次へ (全10ページ)
日本酒の種類
前ページでは「日本酒とは何か」ということについてお伝えしましたが、日本酒にはどんな種類があるのでしょうか?
実際、日本国内には現在、1,400以上の酒蔵(酒を醸造、貯蔵するための蔵)があり、銘柄は1万種類以上あると言われています。
そんな日本酒を分類するための要素は多くあります。今回は初心者の方でも分かりやすく、日本酒を選ぶ際の参考にしやすい基本的な要素での分類をいくつかご説明いたします。
種類を知ることで、自分の好きな味の日本酒に出会うことができるでしょう。
お米の種類・産地
日本酒の原料は「お米」と「水」です。
したがって、その土地土地のお米やお水の持ち味が日本酒の風味や味わいを大きく左右します。お米や、水が美味しい地域で作られる日本酒は美味しいんですね。
有名な米
日本酒造りのために開発されたお米は「酒造好適米(しゅぞう こうてきまい)」と呼ばれます。
有名なものは「山田錦(やまだ にしき)」や「五百万石(ごひゃくまんごく)」という2種類の銘柄です。
「山田錦」は酒米の中で全国一の生産量を誇ります。きめの細かいまろやかさがあり、香り豊かでコクのあるお酒になります。
▼山田錦
「五百万石」は最もポピュラーとも言われている酒米です。淡麗で、クセのないすっきりとした味わいが特徴です。
山田錦(やまだにしき) | 名称 | 五百万石(ごひゃくまんごく) |
兵庫 | 主な生産地 | 新潟 |
きめの細かいまろやかさがあり、香り豊かでコクがある | 味の特徴 | 淡麗で、クセのないすっきりとした味わい |
どちらが初心者の方におすすめかは一概には言えませんが「山田錦」は、一般的にコクのある甘口になりやすいと言われており、雑味が少ない香り高い日本酒造りに向いています。
そのため初心者の女性は「山田錦」を使用した日本酒から飲んでみるといいかもしれません。
産地
お米や、水が美味しい地域で作られる日本酒は美味しいです。水やお米が美味しい地域について知っておくと、自分の好きな日本酒を選ぶ参考になります。
① 新潟県
新潟県は米の名産地で、美しい水とお酒を製造しやすい寒い気候も特徴。有名な銘柄の例で言えば「八海山 純米吟醸」です。
▼八海山 純米吟醸
画像引用元:八海山 Copyright 2018 HAKKAISAN BREWERY
「八海山 純米吟醸」は豊かで落ち着いた香りとほのかな米の旨みがあり、軽めですっと飲みやすい純米吟醸酒。お料理の味を邪魔しない上品な味わいで、飽きのこないお酒です。
② 山形県
山形は、気候や庄内平野や最上川など、美味しい水やお米が育つ条件が揃っています。有名な銘柄の例で言えば「十四代 純米吟醸播州山田錦」です。
▼十四代 純米吟醸播州山田錦
幻の日本酒と呼ばれる人気の銘柄「十四代」。
吟醸酒特有のフルーティーで芳醇な香りを、存分に堪能することができます。
ちなみに現在人気の日本酒「獺祭(だっさい)」も山形のお酒です。
③秋田県
秋田は雪解けの伏流水に恵まれており、空気も澄んでいるので美味しいお米が育ちます。あきたこまちが有名です。秋田県の銘柄と言えば「新政No.6」です。
▼新政No.6
画像引用元:新政 © 2016 Aramasa Co,Ltd.
横文字の名前と、まるでワインのようなおしゃれな見た目が特徴の新政No.6。
味わいもすっきり爽やかで、フルーティー感も楽しめる新しい日本酒です。
精米歩合 ~大吟醸・吟醸・純米大吟醸とは~
日本酒の分類で一番よく聞くのが「精米歩合(せいまい ぶあい)」という言葉。「大吟醸(だいぎんじょう)」や、「純米吟醸(じゅんまいぎんじょう)」など、耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
これらの言葉は精米歩合がもとになっています。
精米歩合とは「日本酒を製造する工程でどのくらいお米が削られたかを表す数値」です。お米は中心になるほど香りが強く、周りを削ることでその中心部の香りが生きた雑味のない味わいになります。
日本酒の裏のラベルをよく見ると「精米歩合40%」などという表記を見ることがあります。この場合、お米の60%を削って作られたお酒ということになります。
日本酒は精米歩合とアルコール添加のあるなしで、ジャンル分けされます。
サトウキビを主な原料として作られた食用のアルコールを加えること。アルコール添加することにより、香りを引き立たせることや、軽快な味わいを生み出すことが期待される。
日本酒は「大吟醸酒」「純米大吟醸酒」「吟醸酒」「純米吟醸酒」「本醸造酒」「純米酒」に分類できます。
その中で精米歩合が50%以下でアルコール添加のあるものを「大吟醸酒」。アルコール添加のないものを「純米大吟醸酒」。
60%以下でアルコール添加のあるものを「吟醸酒」。アルコール添加のないものを「純米吟醸酒」。
70%以下でアルコール添加のあるものを「本醸造酒」と言います。
そして精米歩合に規定はなくアルコール添加がないものを「純米酒」といいます。
名称 | 精米歩合 | アルコール添加 |
大吟醸酒 | 50%以下 | あり |
純米大吟醸酒 | 50%以下 | なし |
吟醸酒 | 60%以下 | あり |
純米吟醸酒 | 60%以下 | なし |
本醸造酒 | 70%以下 | あり |
純米酒 | 規定なし | なし |
同じ銘柄の中にそれぞれ「吟醸酒」や「大吟醸酒」などがあります。私の好きな「寫楽(しゃらく)」というお酒で特徴を紹介します。(価格は「酒専門店鍵や」参照)
▼寫楽
寫楽 純米酒 720ml(箱なし)1,300円(税別)
米の旨み、落ち着いた果実系の香りがバランスの良い純米酒です。すっきりとした後味が特徴で、どんなお料理にも合います。
amazon 楽天寫楽 純米吟醸 720ml(箱なし)1,600円(税別)
口の中に広がるフルーティーな香りが特徴です。純米酒と比べると、香りと米の味が濃くなっています。
amazon 楽天寫楽 純米大吟醸 しずくどり 720ml(箱入り)4600円(税別)
精米歩合がなんと40%という特別酒です。飲む前から香り華やかな香りと、口に入れてから広がる果実のような香りが際立つ上品なお酒です。
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また、精米歩合が低い、つまりお米を削れば削るほど一般的に価格は高くなります。米粒を削る作業と品質管理に手間と時間がかかるからです。
ただ、ここで勘違いしてほしくないのが、削られれば削られるほど美味しいという訳ではないということです。
確かに、雑味がなくなりすっきりとした味わいにはなりますが、あえて削りすぎないことで生み出される香りや風味にも魅力があります。そこが、日本酒の難しいところであり、楽しいところであるともいえますね。
好みになるので一概には言えないのですが、米は中心部の方が旨みが強く、雑味が少ないので、雑味が少ない外側が多く削られている、大吟醸酒や吟醸酒が初心者の方は飲みやすいかもしれません。
私自身は華やかな香りが強いものより、お米の旨みと香りをバランス良く楽しめるお酒が好きなので、純米酒や本醸造酒が好きです。香りが強いとお料理の味の邪魔をしてしまう場合があるのと、お燗にして楽しむのも好きなので、その場合はやはり、純米酒や、本醸造酒の方が適していると言えます。
日本酒度・酸度
日本酒のラベルを見たときにもう1つ目に付くのが「日本酒度(にほんしゅど)」と「酸度」というところに書かれた数値です。
糖度
「日本酒度」というのは、簡単に説明すると「日本酒に含まれた糖度を表す数値」になります。
糖度が高いものがマイナスで、糖度が低いものがプラスで表されます。マイナスであればあるほど「甘口」でプラスであればあるほど「辛口」と表現します。
日本酒度でいうところの「甘口」と「辛口」の違いは端に糖度の違いです。実際の味わいは「甘口だから甘く感じる」という訳ではありません。
あくまでも味わいの目安になるものです。日本酒好きの私でも、どちらの味が好きなのかというのは一概に答えるのは難しいです。
口当たりで選ぶとすれば私は辛めの日本酒が好きです。甘い日本酒は、どっしり重く、口に残るイメージがあります。また、お料理の味を邪魔してしまうような気がすることもあって、すっきり、きりっと飲める辛めの日本酒が好きです。
酸度
「酸度」と聞くと、すっぱさかなと思う方も多いかもしれませんが、日本酒における「酸度」はそうではなく「お酒のキレを表現する数値」を表します。
日本酒における酸は、味を引き締める役割があります。
酸度が高ければ高いほどキリッとした濃い味わいを楽しめ、逆に酸が低いほどすっきり淡麗な味わいを楽しめます。
私自身すっきりとした日本酒が好きなので、酸度が高すぎないお酒の方が好みです。初心者の方はまずは1.5前後のものを飲んでみて、飲み比べながら決めるのがおすすめです。
人の味覚は様々で、何を持って甘いとし辛いとするかも違います。
色々な日本酒を飲みながら、日本酒度や酸度をチェックして自分の好みのバランスを見つけてください!
まとめ
このページでは基本的な日本酒の種類をご紹介しました。
上記でも述べた通り、人によって味の感じ方はそれぞれです。
実際に色々な日本酒を飲んでいく中で、お気に入りの味を探す参考になれば嬉しいです。
さて、日本酒は豊富な味の種類があるとこのページではお伝えしましたが、ワインだって豊富な味の種類があります。他のお酒にはない日本酒ならではの魅力とはなんなのでしょうか?
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はじめに
第1章 日本酒の基礎知識
第2章 女性におすすめの日本酒
第3章 日本酒女子会を楽しむ!
著者 白花豆子
20代女子のフリーライター。日本酒居酒屋に連れて行ってもらったことをきっかけに日本酒にハマり日本酒専門居酒屋で働く。若い女性にもっと日本酒の魅力を知ってほしいという思いがある。
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