このページでは初心者の方が「スロープスタイル」の大会観戦をする際にもっと楽しむ事ができるような知識や観方を掘り下げて紹介していきます。
※このページはスノーボードインストラクターの風祭氏「スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門」の内容をWebon編集部がまとめたものです。
▼他の大会も詳しく知りたい方は「スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門」をご覧くださいませ。(全10ページ)
目次
スロープスタイルの楽しみ方
スロープスタイルとは
▲スロープスタイルの様子
▲スロープスタイルのコースの例 photo by Flickr: BEO 2008 Slopestyle act 06 CC 表示-継承 2.0 –
種目名 | スロープスタイル |
同時滑走人数 | 1人 |
形式 | 採点 |
スロープスタイルは、キッカー(ジャンプ台)や、ジブアイテム(レールやボックスなどの雪以外でできたアイテム)などが設置されたコースを滑り、演技を競い合う競技です。2014年のソチオリンピックから正式種目に加わりました。
キッカー(ジャンプ)やレール・BOX(ジブ)などのいくつかのセクションがあり、全てのセクションの滑りが総合的に採点され、その得点で競われる種目です。
スロープスタイルではキッカーがあるので派手なジャンプばかりに目が行きがちですが、レールやBOXといった「ジブ」セクションも得点の割合を同じくらい占める重要なポイントで、勝負の分かれ目となります。
スノーボードのフリースタイル(ジャンプ技などのトリック)の総合力が試される競技と言えるでしょう。
スロープスタイルの魅力
1 大会によって違うユニークなコース
▲キッカーの様子 photo by The Camp of Champions S
スロープスタイルのコースは大会によって異なります。
オリンピックではジブ(レールやBOX)セクション3つ、ジャンプ(キッカー)3つくらいのオーソドックスなコースでしたが、大会によって短いハーフパイプ(下図参照)が設置されたコースや、コース上に自動車が設置されたコースなど、バラエティに富んだユニークな大会も多々あります。
▼ハーフパイプ
photo by
特にアメリカで人気のスノーボードの大会「X-GAMES」などは毎年ユニークなことをして、楽しませてくれます。
▼「X-GAMES」のスロープスタイルの様子
2 色々な技と個性ある滑り
スロープスタイルでは、コースの中で同じ技(例えば同じ方向に回転するジャンプなど)をすると得点が伸びないので各選手色々な技を繰り出します。
また、選手それぞれ個性ある滑りをしますので、ジブセクションからジャンプセクションまで見逃すことができません。
このように色々な技を見ることができるのはスロープスタイルの魅力ですので、選手それぞれの「個性ある滑り」に注目して見てもらえると、よりスロープスタイルを楽しく見れると思います。
3 勝敗を分けるポイント
大会毎に異なるコースで、個性ある滑りを観るだけでも楽しいですが、やはり「勝敗」も大会の醍醐味です。
勝負の分かれ目となるポイントを知ればスロープスタイルの観戦はもっと楽しめるでしょう。
スロープスタイルでは小さなミスが勝敗を分けます。
減点にならないような小さな着地のミスでも、スピードを落としてしまうとリズムを崩して次のセクションがうまくいかなくなったりします。
派手な競技性とは裏腹に、繊細な部分が勝敗を分けるスロープスタイルは緊張感があり、その緊迫感も注目ポイントです。
▼以上の点を踏まえてもう一度スロープスタイルを観てみよう!
スロープスタイルの技
ジャンプ技
ジャンプの技は基本的にはハーフパイプの技と同じですので、詳しくはハーフパイプのページを参考にしてください。
ただ、ハーフパイプよりもキッカーを使っているスロープスタイルの方が大きなジャンプをしやすいので、さらに高レベルのトリック(技)が繰り出されています。
ハーフパイプでは、ダブルコーク1440(縦2回転、横4回転のジャンプ技)が最高難易度とされていますが、キッカーではトリプルコーク1620(縦3回転、横4回転半)が標準的で、これまで最大でクワッドコーク1920(縦4回転、横5回転半)までメイク(達成)されています。
▼クワッドコークの例(動画はクワッドコーク1800)
ジブ(レール、ボックス)技
ジブの技としては、
ジブアイテムに対してまっすぐに両足で乗ることを「50-50(フィフティーフィフティー)」
片足で乗ることを「ノーズプレス」「テールプレス」
横にして乗ることを「ボードスライド」や「リップスライド」
などと呼びます。
▼50-50(フィフティーフィフティー)(まっすぐに両足で乗る)
photo by James Streater
▼ノーズプレス・テールプレス(片足で乗る)
photo by Travis Hightower Imaging
▼ボードスライド・リップスライド(ボードを横にして乗る)
さらにジャンプの際スピンしてからBOXなどのアイテムに乗ったり降りたりする技をon(オン)、out(アウト)などと呼びます。
例えば「270 on 270 out」というトリックなら、270°スピンしてアイテムに乗り、アイテムから降りながら270°スピンして着地します。
スノーボードを知らない人からすると、スノーボードのトリック名は訳がわからないような名前も多いですが、基本を知れば以外と単純でわかりやすいです。
グラブトリック(=ボードをジャンプ中に掴む技:下図参照)などはユニークな名前のものも多いですので、トリック名を覚えるだけでも結構楽しめます。
▼グラブトリックの例
スロープスタイルの注目選手!
以下ではスロープスタイルの注目選手について紹介いたします!
マーカス・クリーブランド(Marcus Kleveland)
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▲マーカス・クリーブランド選手のスロープスタイル
出身国 | ノルウェー |
生年月日 | 1999年4月25日 |
主な受賞歴 | 2017・2018X Games金メダル(スロープスタイル) |
SNS | Twitter/Instagram/Facebook |
ノルウェー出身のスノーボーダーで、現在最も優れたスキルを持つと言われるスロープスタイルの選手です。
平昌オリンピックでも金メダル候補とされていましたが、メダルなしで終わり、業界からはかなり驚きの声が上がりました。
若干19歳と若い選手ですが、すでにスロープスタイル・ビッグエア競技を引っ張っているトップ選手で、注目度ナンバーワンの選手です。
マーカス・クリーブランド選手は、オリジナリティある技の数々が特徴的です。独特の回転軸でのスピンや、レールのオンやアウト(先述)でも3Dスピンなどの高難易度のトリックを平気で繰り出して驚かされます。
角野友基(かどの ゆうき)
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▲角野友基選手のスロープスタイル
出身国 | 日本 |
生年月日 | 1996年5月18日 |
主な受賞歴 | 2016X Games金メダル(スロープスタイル) |
SNS | Twitter/Instagram/Facebook |
日本人のスロープスタイル競技選手の中では頭一つ抜き出ている世界トップレベルの選手です。
X-GAMESやUS OPENといった大きな世界大会で金メダルを獲得しています。
2018年の平昌オリンピックには出場しませんでしたが、2014年のソチオリンピックの日本代表でした。現在も世界の第一線で活躍しています。
平昌オリンピックに出場していたらメダル候補に挙げられていたでしょう。
角野友基選手は、ジャンプが魅力的な選手です。安定感あるジャンプは非常に綺麗で見入ってしまいます。
ジェイミー・アンダーソン
photo by Wintersportsfan CC 表示-継承 3.0
▲ジェイミー・アンダーソン選手のスロープスタイル
出身国 | アメリカ |
生年月日 | 1990年9月13日 |
主な受賞歴 | 2014ソチ五輪金メダル・2018平昌五輪金メダル(スロープスタイル) |
SNS | Twitter/Instagram/Facebook |
ソチと平昌オリンピックの女子スロープスタイルで、2大会連続の金メダルを獲得したアメリカ代表の選手です。
2007年以降、X-GAMESなどのあらゆる大会でも常に表彰台に上がっています。
女子のスロープスタイルの選手としては圧倒的な実力を持っていて、世界ナンバーワンと言って間違いないでしょう。
ジェイミー・アンダーソンは男勝りの力強い滑りが特徴的です。ジャンプの高さや着地の安定感などは抜群で非常に格好いいです。
鬼塚雅(おにつか みやび)
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▲鬼塚雅選手のスロープスタイル
出身国 | 日本 |
生年月日 | 1998年10月12日 |
主な受賞歴 | 2015世界選手権金メダル・2017世界選手権銅メダル(スロープスタイル) |
SNS | Twitter/Instagram/Facebook |
日本の女子スロープスタイル選手として、今最も注目を集めている選手です。
世界トップレベルで活躍し、まだ20歳と若くこれからの選手ですので、ジェイミー・アンダーソンから世界のトップを奪える可能性があると期待されています。
鬼塚雅選手はジャンプが魅力の選手です。大きなジャンプで繰り出す高難易度のトリックはとても格好いいです。
以上、スロープスタイルについて掘り下げて解説をしました!これだけの知識があれば、より大会を楽しむことができるはずです!
▼他の大会も詳しく知りたい方は「スノーボード『大会観戦』『動画鑑賞』入門」をご覧くださいませ。(全10ページ)
はじめに
第1章 スノーボードの大会の世界
第2章 スノーボードビデオの世界
著者:風祭健
北海道出身、北海道在住のアラサーのスノーボーダーです。小学生の頃に地元のスキー場で、格好良く滑るスノーボーダーに憧れてスノーボードを始め、かれこれスノーボーダー歴は約20年になります。学校を卒業してから一度は会社員になるも、週末だけのサンデーボーダーでは満足できなくなり転職。JSBAスノーボードC級インストラクターの資格を取得。それ以後、冬に仕事のない農家や土木関係の仕事をし、冬はインストラクターとして山に籠もる生活を送っています。夏場はスケートボードとサーフィンも始めてしまい、趣味も人生も横滑りばかりです。お問い合わせはこちらから