ビーチコーミングは「海岸に流れ着いた漂着物を集め観察する」ことを言います。
このページでは「専門知識などないただの一般人だった私がどのようにしてビーチコーミングと出会ったか」「ビーチコーミングが誰にでも出来る気軽なものでありなおかつ奥深いものであるか」ということをお話しします。
ビーチコーミングの魅力を知り、ぜひ実際にビーチコーミングを行っていただきたいと思っております。
ビーチコーミングとの出会い
photo by Ruth Hartnup
皆さま、はじめまして。今回、ビーチコーミング入門を書かせていただくことになりました「こでまり れん」です。
海に面した福岡・北九州地方で育った私ですが、幼少時~成人する前くらいまでの私にとって、海とは「泳ぐ場所」「釣りをする場所」のどちらかでしかありませんでした。
そんな中、結婚に伴って海なし県へ嫁ぎそこで生活していくうちに気付いたのは「何もしなくても、とにかく海を見ていたい」という強い思いです。
ホームシックならぬ海シック(?)状態に陥り、たまに県を跨いでまで、ただ海に出かけてぼーっと過ごすことが何度かありました。その後子どもにも恵まれ、さらに東京湾に面した場所へ移住。
海シックは収まりましたが、転機が訪れたのは子どもが小学生になってからでした。海開きの行われる前、ドライブがてら出かけた磯遊び。そこで見つけた小さな貝殻。それが私の趣味を大きく変えてしまったのです。
「お母さん、こんなに拾ったよ。何だろうね?」
と子どもが両手いっぱいに拾ってきたのは、小さな巻貝や二枚貝が何種類か。
貝といえばアサリやハマグリなどの食用貝しか知らなかった私には、もちろんその名前や種類を答えてあげることが出来ず、家に帰ったら調べてみようね、と言うのが精一杯。唯一わかったのは「サクラガイ」くらいでした。
▼桜貝(サクラガイ)
私は趣味でアクセサリー製作をしています。
その時のサクラガイも
「砕いてレジンに封入したら綺麗かな?」
くらいにしか思いませんでした。
透明な樹脂のこと。ハンドメイドのアクセサリーを作る用途などで使われる。
▼レジンで作られたアクセサリー
ただ色んな形をした小さな貝殻を並べて見ながら「これは穴を開けたらピアスに出来そうだな」「こっちは組み紐と合わせてネックレスにいいかも」「他にもいろんな貝を拾って素材にしたい」と思うようになり、たびたび海へ素材集めに出かけるようになりました。
そうして何度か通ううち、まずは子どもが貝の種類の多彩さに興味を持ち、図書館で図鑑を借りてくるようになったのです。
しかしまだ小学校に入ったばかり、図鑑には読めない漢字がたくさん。
仕方なしに音読してあげる毎日でしたが「Wikipediaで1日潰せちゃう!」というほど調べものが好きな性格も手伝って、すっかり親子で貝殻の魅力の虜になってしまいました。
誰でも気軽にはじめられる
元々、海は好きでも貝に興味などなかった私。
要するに完全に素人からのスタートでした。
ビーチコーミングという言葉を知ったのも、それを趣味としている人が一定数いると知ったのも、それからしばらく後のことです。
海で楽しげに泳ぐでもなく、サーフィンで波と戯れるでもなく、釣糸を垂らすでもなく、ただひたすらに海岸の砂浜や岩場に目を凝らす人々を見かけたことはないでしょうか?
その多くが「ビーチコーマー」と言われる人だと思います。
▼ビーチコーマー
By Virginia State Parks staff – BI_BeachcombingUploaded by AlbertHerring, CC BY 2.0, Link
名の由来や詳しい活動は第一章で改めて説明しますが、要するにビーチコーミングとは「海岸に流れ着いた漂着物を集め、観察すること」です。
採集するのは漂着物=落ちているものがメインなので、正直に言いますとお金はほとんどかかりません(さすがに交通費は必要ですが…)。拾い集めるだけですから、場所さえ気を付ければお子さんにも楽しむことができます。
誰にでも門戸が開かれているのです。
必ずしも専門的な知識が必要なわけでもなく、何を集めるか・調べるかは完全に自分次第。
赤い貝だけをコレクションしたり、ひたすら1cm未満の貝だけを見つけたり、はたまたマニア垂涎(すいぜん)のお宝を探してみたり。
始めの頃の私のように、ハンドクラフトの素材を(無料で!)集めることも出来ます。また名前や生息地を調べて本格的な標本を目指すことも出来ます。
そんな「間口は広く、奥行きは果てしなく深い」ビーチコーミングの世界。
少しでも興味をお持ちでしたら、是非海へ出かけてみてください。ほんのわずかでもお手伝いとなり、その楽しさを知っていただけるよう、これから基礎知識や成果をお伝えしていけたらと思います。