ビーチコーミングとは

 

このページではビーチコーミングとは何か?ということを解説いたします。

ビーチコーミングは専門的なものではなく、無料でハンドクラフトの素材を見つけられたり、お子さんと一緒に楽しむことができるものなのです。

また時には高値で取引されるお宝が見つかることも・・・?

 

ビーチコーミングとは


By Virginia State Parks staffBI_BeachcombingUploaded by AlbertHerring, CC BY 2.0, Link

▲ビーチコーマー(ビーチコーミングをする人)

 

ビーチコーミングとは「海岸に流れ着いた漂着物を集め、観察すること」です。

「採集するのは漂着物=落ちているものがメインなので、お金はほとんどかかりません。拾い集めるだけですから、場所さえ気を付ければお子さんでも楽しむことができます。

ハンドクラフトの素材を(無料で!)集めたり、赤い貝だけをコレクションしたり、ひたすら1cm未満の貝だけを見つけたり、また名前や生息地を調べて本格的な標本を目指すことも出来ます。

専門的な知識は必要なく、「間口は広く、奥行きは果てしなく深い」のがビーチコーミングの世界なのです。

 

由来

 

まずビーチコーミングという名前の由来ですが、これは海岸(beach)を櫛(くし)でとかす(combing)ように細かくさらいながら探す、というものです。

「櫛?」と思われるかもしれませんが、これは実際にやってみるとよくわかります。浜辺に打ち上がった貝溜まりなどを、文字通りに手や道具などを使って、櫛で削るようにガサガサと探していくのです。

意外にもビーチコーミングの歴史は古く、最古の時代はわからないのですが、少なくとも江戸時代くらいまでは行われていたようです。その時代は主に沈没船に載っていた陶器などがメインのようでした。

ビーチコーミングは昔は売り物になる漂着物を探す、いわばお金を稼ぐための行為でした。骨董の世界では「海揚がり」などと言われていたようです。

 

どんなものが見つかる?

 

ターゲットとなる漂着物にも、いろいろなものがあります。代表的なものを挙げてみると以下のようになります。

 

◆貝類

打ち上げ貝(死貝)。いわゆる貝殻。二枚貝、巻貝、微小貝(ミリ単位の小さなもの)など

◆化石

貝や蟹など海の生物の他、樹木、太古の陸上生物の化石など

◆種子類

海流に乗って流れてきたヤシの実、モダマなど

◆鉱物

珪化木、瑪瑙(めのう)、水晶など

◆人工物

ガラスの瓶、昔の硬貨、ルアー、おもちゃなど

 

と、大雑把に分けてもこれくらいになります。

ご覧の通り何でもアリな世界です。最も多数を占めるのは、私もそうなのですが、貝殻をターゲットにしている方々だと思います。

数や種類が豊富な上、ライトな層から本物の研究者までおり、年齢層も様々。

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様々な貝を瓶に入れてちょっと飾っておくだけで、おしゃれなインテリアにもなります。

次に愛好家が多いのが人工物、特にガラスです。

「ビーチグラス」「シーグラス」と呼ばれるガラスの欠片は、長時間波に洗われて角が取れ、丸みを帯びて曇りガラス状になっており、クラフト素材としても人気があります。

 

▼波牛際のシーグラス


By Jef Poskanzer – originally posted to Flickr as Glass Beach / close-up, CC 表示 2.0, Link 

 

瓶の形を保ったままのものも時折見られ、こちらは「ボトルディギング」として1つの分野になっているほどです。

 

ボトルディギング

「瓶」の形をしたシーグラスを集める行為。昔の薬瓶やインクボトル、飲料の瓶などが対象になります。

 

人工物全般に言えることなのですが、漂着物は本来は不要品、いわゆるゴミではあるのですが、そこに新たな価値を見出だしているということになりますね。海岸も綺麗になりますし一石二鳥です。

化石や鉱物に関しては、ある程度の鑑識眼が必要になってくるため、少し上級者向けといった感があります。

ただ、瑪瑙(めのう)の類いであれば、割とあちらこちらで見られるものです。時代のロマンを感じるどちらかというと男性が多い分野です。

瑪瑙(めのう)

宝石の一種で美しい縞模様が特徴。


By 峠 武宏投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, Link

【コラム】瑪瑙のどういうところにロマンを感じる?

鉱物にしろ化石にしろ、何百年という時間(あるいはそれ以上)を経て形成されるものですので、「これはいつの時代の物だろう?」「どんな環境で形成された物だろう?」と考え、また現存しない生物の化石などを(稀ですが)拾うこともあるため、様々な考察を行えるという点です。事実、この海辺での化石採集をきっかけに、考古学を趣味として学んでいる知人もいます。

 

種子類は遥かな海を越えて、南国から流れ着いたものが多数。

「遠野物語」の作者として知られる民族学者の柳田國男先生は、漂着したヤシの実を拾ったことをきっかけに「海上の道」という作品を残しています。

▼柳田国男著「海上の道」(画像クリックで商品詳細へ)

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何を拾うかはどう決める?

 

最初から「これだ!」というターゲットを見つけるよりも、実際に海へ足を運び自分の目で見てから分野を決める方が良いと思います。

何しろビーチコーミングは「自由」ですから分野など決めず、ただ気の赴くままにピンと来るものを探すだけでも充分なのです。

何度か行っているうちに「ガラスが好きだな」とか、「大きな巻貝が使えそうだ」とか、ある程度自分の好みがわかってきます。

 

お小遣い稼ぎになる!?

 

最初にお話ししましたが、古来は生活費を得るための手段でもあったビーチコーミング。

実は今でも、ちょっと高値で取引されるものがあります。

「竜涎香(りゅうぜんこう)」や「イルカの耳骨(じこつ)」などです。竜涎香はおいそれとは見つかりませんが、イルカの耳骨には場所と運さえ良ければ、出会うことがあります。

竜涎香は2000円/1gほど、イルカの耳骨はオークションサイト等で平均7000円以上で取引されています。

 

竜涎香(りゅうぜんこう)

マッコウクジラの腸内に発生する結石。香料。高級な香水、お香などに使用される。


Photo by Peter Kaminski,CC 表示 2.0

 

耳骨は布袋石とも呼ばれ、幸運を呼ぶチャームとして大変人気があり、市販のネックレスなどは軽く数千円以上になります。(参考リンク:南房総いいものや)

不思議なことに、「高く売れる!」と最初から欲を出すとなかなか見つからないのですが、こんな楽しみ方もあるよ、とぜひ頭に入れておいてください。実は私もまだ、お目にかかれていません…。

 

ここでは海で出会える漂着物とその魅力についてお話ししました。

では、次のページで実際に海へ行く準備を整えることにしましょう。