【子別れ】あらすじや見所など落語ファン歴10年による解説!

 

落語は「噺の終わりにオチがある、おもしろおかしい落語」滑稽噺と「心温まるような人情を描いた落語」である人情噺というジャンルに分けることができます。

人情噺の中でおすすめなのが「子別れ」です。

このページでは「子別れ」のあらすじや、どの落語家の「子別れ」を聴くのがおすすめかなどを徹底解説いたします。

 

※このページは10年前に落語にはまって以来ほぼ毎日落語を聴いているミドケン氏による『落語初心者入門』の内容をWebon編集部がまとめたものです。また、このページの情報の一部は落語作家なかむら治彦氏の『読んで楽しい落語の演目と知識』を参考にしております。

▼『落語初心者入門』(全23ページ)

 

子別れとは

 

『子別れ』(別題『子は鎹』『強飯の女郎買い)は離縁して父母が離れ離れになった子供とその父親が偶然再会し、その子供の橋渡しによって夫婦が再会し、よりを戻すというストーリーです。

父と子、母と子、それぞれの間に互いを思う心が別れた後も強く残っている描写が劇的です。

このストーリーの前段として、父親が葬式の帰りに吉原へ出かけるくだりと、それが原因で夫婦喧嘩になり母親が子供を連れて家を出るくだりの落語があります。前者は『子別れ・上』(別題『強飯=こわめしの女郎買い』)、後者は『子別れ・中』、さらに前述した部分は『子別れ・下』と通常は呼ばれています。

(解説:なかむら治彦)

あらすじ

 

腕はいいのに酒ばかり飲んで働かない大工の熊五郎。

熊五郎は吉原(=幕府公認の遊郭(男性に性的サービスを行うお店がある区画))に居続けたあげく、しばらくぶりに家に帰ったが女房に謝るどころか女郎(遊郭で働く女性)ののろけ話をする始末。

ついに堪忍袋の緒が切れた女房は、息子の亀吉を連れて家を出てしまう。

 

 

その後吉原の女郎を後妻にするが、これがとんでもない悪妻でそのうち熊にも愛想を尽かして出て行ってしまう。

熊五郎は心を入れ替えて真面目に働くようになり数年後には暮らしも楽になった。

 

そんなある日、仕事先で別れた息子の亀吉に偶然出会う。

亀吉に母親のこと聞くと「再婚もせず貧しいながら女手一つで頑張っている」とのこと。

熊五郎は亀吉に小遣いをやり「明日二人で鰻を食べに行こう」と誘い「俺と会ったことはおっかさんには内緒にしろ」と言い聞かせて別れる。

 

家に帰った亀吉。もらったお金が母親に見つかってしまう。

ごまかそうとするが「亀吉が盗んだんじゃないか」と疑った母親は金づちでぶとうとするので、父親からもらったことを白状してしまう。

 

 

怒るどころか、真面目になった熊五郎の話を聞いて嬉しそうな様子の母親。

 

翌日、熊五郎と亀吉が鰻屋の二階で鰻を食べていると、いても立ってもいられなくなった母親が鰻屋を訪ねて来る。

親子三人水入らずとなり両親とも嬉しいはずだが、お互いもじもじとするばかりで会話が成り立たない。

そこで見かねた亀吉が二人の仲を取り持ち、二人は徐々にお互いの気持ちを打ち明け合う――。

 

–ネタバレ–

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ヨリを戻すことを提案する熊五郎。そして承諾する母親。

「こどもがあればこそおめえとも、またヨリが戻るんだな」と熊五郎。

「ほんとうですよ。子供は夫婦のかすがい(2つの材木をつなぐためのコの字型の釘)って言う通りですよ」

すると亀吉が「えっ、あたいがかすがいかい?だから昨日おっかさんがあたいの頭を金づちでぶとうとしたんだ」

 

–ネタバレ終わり–

 

みどころ

 

この「子別れ」はとても長い噺で、一般的には、上、中、下と三つに分けて演じられます。上は「強飯の女郎買」、下は「子はかすがい」という題名です。いつの時代も家族の愛情は変わりません。

大人びた台詞を吐く亀吉、女房のいじらしさ、亭主の男としての照れが聞きどころの噺です。

 

▼筆者おすすめ「子別れ」が鑑賞できる作品

⚫柳家さん喬14「子別れ」-「朝日名人会」ライヴシリーズ94(Amazon Music Unlimited)

 

「子別れ」を聴く方法

 

「子別れ」を聴くには、以上でおすすめしたCDを購入して聴く方法もありますが、音声の配信サービスを利用するという方法もあります。

以下では「子別れ」が聴けるサービスを紹介いたします。

 

audible

 

audibleでは「子別れ」を聴くことができます。

audibleはベストセラー小説からビジネス書、英字新聞まで、20以上の豊富なジャンルを音声で聴ける定額制サービスで、落語作品も数多く収録しています。人間国宝・五代目柳家小さん(やなぎや こさん)さんも収録。名だたるレジェンドたちの演目が手軽に聴けます。

 

▼audible公式サイト(プロナレーターの朗読配信サービス。無料お試し有)

 

Spotify

 

Spotifyでも「子別れ」を聴くことができます。

Spotifyは音楽ストリーミング配信サービスですが、落語のコンテンツも充実しているのでおすすめです。

立川志らく(たてかわ しらく)、春風亭一之輔(しゅんぷうてい いちのすけ)、三遊亭白鳥(さんゆうてい はくちょう)、など、今をときめく落語家のラインナップが豊富なのが特徴です。

 

Spotifi公式サイト (音楽ストリーミングサービス。無料。(有料版有))

 

以上「子別れ」の紹介でした。その他落語の人情噺の演目についてさらに詳しく知りたい方は下記のページをご覧くださいませ。

 

また『読んで楽しい落語の演目と知識』では落語の演目の中から、あなたの好みにピッタリと合った落語演目をご紹介いたします。

▼『読んで楽しい落語の演目と知識』(全10ページ)

 

さらに「落語のマクラって何?」「どこで落語は観れるの?」など基礎から落語を学びたい方は『落語初心者入門』をぜひご覧くださいませ。

▼『落語初心者入門』(全23ページ)