落語初心者のための基礎知識

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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まずは落語初心者のための基礎知識をお伝えします。

このページを読めば「落語とは何か」という基本的なことがわかり、なんとなく落語の全体像が見えてくるかと思います。

 

落語とは


By vera46 – originally posted to Flickr as rakugo, CC 表示 2.0, Link 

 

落語は江戸時代の日本で成立した伝統的な話芸です。

落語にはお決まりのストーリーがあり、内容は基本的に「滑稽で笑えるもの」となっています。(感動できるものもあります)

そして話の最後には「落ち(オチ)」がつくのが特徴となっています。

ちなみに落語では「話」を「噺(はなし)」とも表記します。

 

※決まり文句は言わない事も多くあります

 

また、落語家は着物を着て落語を演じるのが基本です。

ただ、落語家には階級があり「二つ目」以上の階級(下図参照)だと着物の上に羽織をはおっています。

落語を演じている最中に、落語家が羽織を脱ぐ時がありますがタイミングに明確な決まりはありません。

 

▼階級について詳しくは第1章の後のページで解説します!

 

落語の表現

 

落語は座布団の上に座っている落語家が1人で何役も演じて物語を展開します。

使用する道具は、基本的には扇子と手ぬぐいだけです。

扇子と手ぬぐいは様々な道具に見立てられます。扇子で「そばをすする箸」を表現したり、手ぬぐいを「財布」に見立てることもあります。

 

▼「扇子」で表現されるもの

扇子で表現されるもの 表現が見られる有名な演目
時そば/うどん屋
煙草 巌流島/粗忽の釘
そろばん 壺算/片棒
試し酒

▼「手ぬぐい」で表現されるもの

手ぬぐいで表現されるもの 表現が見られる有名な演目
財布 鰻のたいこ/堀の内
浮世床/稽古屋
短冊 崇徳院

 

落語家が1人で何役も演じ、お客さんの想像力によって物語が膨らんでいくというのも落語の魅力であり、こうしたスタイルのエンターテインメントは日本独自のものです。

 

また「落語はお決まりのストーリーがある」と先ほど説明しましたが、演じ手の表現によって同じ演目(ストーリー)でも全く違った魅力を堪能できます。

 

 

その為「お気に入りの落語家の方を1人見つけて、その落語家を掘り下げる」という楽しみ方もおすすめです。

当Webonでもおすすめの落語家や名人を紹介しておりますのこちらを参考に見つけていただければと思います。

▼名人紹介は第3章、第4章で!

 

落語の噺の構成

 

落語を観る上で知っておきたいのが噺の構成です。

決まった流れがあるので事前に知っておくと内容が入ってきやすくなると思います。

落語の噺は「①マクラ」「②本編」「③落ち(サゲ)」で構成されています。

 

 

「マクラ」から落語は始まります。

マクラは落語家さんのフリートークのような感じで、本編にちなんだ小噺をしたりします。マクラが盛り上がって本編に入らないなんてこともあったりします。

一般的なマクラの長さは5分~15分程度です。ただ、マクラの面白い落語家として有名な柳家小三治(やなぎや こさんじ)さんは1時間マクラをしゃべって落語は10分~15分なんてこともあります。

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▼柳家小三治さん

▼小三治さんの詳しい解説は第4章にて

▼例)マクラの動画:桃月庵白酒さん

 

 

「本編」では「まんじゅうこわい」「天狗裁き」などのお決まりの演目が披露されます。

本編で演じられる演目は、古典落語か新作落語の2つに分けることができます。

「古典落語」は江戸中期から明治にかけて作られた演目で、その数は500~800あると言われています。また、大正時代以降に作られた落語は「新作落語」と言います。

 

▼古典落語と新作落語の違いは第1章の後のページで解説!

▼定番の演目の内容は第3章で解説!

 

 

「落ち(サゲ)」は噺の最後に持ってくる結びの言葉のことです。

落ち(オチ)を言って頭を下げて終わりになります。以下に「オチ」がどのようなものかを示しています。

その演目のネタバレを含んでいるので知りたくない方は飛ばしてください。

 

▼オチの例 ※ネタバレを含む

演目 あらすじ オチ(赤文字)
まんじゅうこわい 饅頭が怖いという男を怖がらせてやろうと饅頭攻めにする。しかし、男は饅頭を食べている。してやられた男たちは男に問う。 「お前は一体何がこわいんだ」
「ここらで渋いお茶が一番怖い」
天狗裁き ぶつぶつ言いながら寝ている八五郎に奥さんが「どんな夢を見てた」ときかれ「夢なんか見ていない」と答える。その後、おれにだったら夢の内容を教えることができるだろうと色んな人に問いただされて、最後は天狗にまで聞かれる。 大天狗は八五郎を山奥へと連れて行くと「どんな夢だ。教えないと八つ裂きにする」と言われる。「うー、助けてくれー」と言う八五郎。
そこへ「ちょいとお前さん起きよ。どんな夢見てたんだい」

 

落語は以上のように「①マクラ」「②本編」「③オチ」という構成で展開します。

これを知っていれば落語をより楽しむことができるでしょう。

 

 

さて、②の本編には「決まった噺がある」と説明しましたが、この噺の種類は大きく二つに分けることができるのです。以下では噺の種類二つに分けて紹介します。

 

噺の種類

 

落語の噺の種類は大きく分けると「滑稽噺」「人情噺」の二つです。

 

 

滑稽噺は「噺の終わりにオチがあるおもしろいおかしい落語」のことです。落語と聞いてイメージするのはこの滑稽噺だと思います。

人情噺は「ストーリー性を重視し心温まる人情を描いた落語」のことです。

どちらも特別な知識がなくても楽しめます。

初心者の方におすすめの噺も第3章で紹介してますので、まずはどんな噺があるか知るとよいと思います。

 

落語を観るには

 

落語の醍醐味はプロの落語家の公演を生で観ることです。

1年365日毎日、生の落語を観ることができる「落語定席(らくごじょうせき)」という場所があります。

落語定席は東京には「浅草演芸ホール」「鈴本演芸場」「新宿末廣亭」「池袋演芸場」の4つがあります。

大体、昼は12時頃にはじまり夜は21時頃まで行われています。昼と夜の2部制が基本ですが、ほとんどの寄席が昼と夜でお客さんを入れ替えをしません。

そのため12時に入り21時までの間、たっぷりと落語を楽しむことができます。

基本的に飲食は可能で、演芸場によってはお酒を飲むこともできます。

ちなみに寄席では大体1人15分~20分の長さで演じます。トリが「大ネタ」と呼ばれる30分以上の長さの演目を披露することもあります。

 

▼落語定席の基本情報

開催日 基本的に毎日
公演時間 12時頃~21時頃
相場 2500円~3000円
チケット購入方法 当日券のみ
落語の長さ 1人15分~20分程度

 

ここまでざっくりと落語の基礎知識についてお伝えしていきました。続いては落語の歴史についてお伝えします。落語への理解を深めてより落語を楽しんでいただければと思います。

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著者:ミドケン

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