三代目 古今亭志ん朝 【おすすめ落語名人9選】

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落語は誰が聴いてもわかりやすく面白い芸能です。落語の基本的な知識や初心者におすすめの演目の紹介、実際に落語を楽しむ方法などを通じて落語(特に古典)の魅力についてお伝えします。

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著者:ミドケン

落語が大好きなフリーライター。10年程前に落語にはまって以来、ほぼ毎日落語を聴いている。お問い合わせはこちらから

 

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この第4章では9ページにわたって落語名人を紹介しております。

このページでは「粋な江戸っ子噺家」である「三代目 古今亭志ん朝」を紹介します。

 

▼おすすめ落語名人9選!それぞれのページで詳しく紹介!

 

 三代目 古今亭志ん朝とは

名前 三代目 古今亭志ん朝(さんだいめ ここんてんしんちょう)
本名 美濃部 強次(みのべ きょうじ)
生年月日 1938年3月10日/没年2001年
家族 父親(師匠):五代目 古今亭志ん生
兄:十代目 金原亭馬生
弟子 ・古今亭志ん駒(ドラマ「大江戸捜査網」でも活躍)
・古今亭志ん輔(NHK「おかあさんといっしょ」に15年間レギュラー出演)
落語初心者が聴いてもわかりやすいのが特徴。戦後の東京落語家を代表する「落語四天王」の1人である。また「東の志ん朝、西の枝雀」と称されることもあった。「ビール」「焼きおにぎり」など数多くのCMに出演しており、高級ふりかけ「錦松梅」のCMのキャラクターとして知名度を獲得する。父は5代目古今亭志ん生。テレビ・映画にも数多く出演しフジテレビ「サンデー志ん朝」では司会をつとめる。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

 

略歴

 

父親は五代目 古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)、兄は十代目 金原亭馬生(きんげんてい ばしょう)という落語家の家に生まれた志ん朝さん。

 

▼五代目 古今亭志ん生

父親の五代目 古今亭志ん生は前のページで解説しています!

 

1957年(19歳になる年)に父親の志ん生に入門して落語家の道に入り前座名「朝太」を名乗ります。

1959年(21歳になる年)、朝太のまま「二つ目」昇進を果たします。

 

▼朝太時代の古今亭志ん朝さん

 

1962年(24歳になる年)、真打(しんうち)昇進を果たすとともに三代目古今亭志ん朝を襲名。

 

▼落語家の階級

階級について詳しくは第1章で解説しています!(現在第4章)

 

若い頃からその才能が注目され、みるみる頭角を現した志ん朝さんは入門からわずか5年という異例のスピードで真打となりました。

しかも36人抜きという快挙で、同じく天才と騒がれた七代目 立川談志(たてかわ だんし)を含めた先輩たちをごぼう抜きしました。

真打昇進以降、芸の輝きは一段と増し、七代目 立川談志、五代目 三遊亭円楽(さんゆうてい えんらく)、五代目 春風亭柳朝(しゅんぷうてい りゅうちょう)とともに「江戸落語四天王」と称されました。

 

▼七代目立川談志

▼五代目三遊亭円楽

▼五代目春風亭柳朝

 

また、落語のみならず、俳優として数々のドラマ・舞台・映画に出演するほか、テレビ・ラジオの司会者などでも活躍。

 

▼出演映画「若い季節」

その圧倒的な実力・存在感から、自分の弟子・他の人の弟子を問わず多くの若手落語家の憧れの的でもありました。

2001年、病により63歳という若さで亡くなり、誰もがその早すぎる死を惜しみました。

 

三代目古今亭志ん朝のココがすごい!

① リズムと語り口

 

志ん朝さんは、語りのテンポの良さ、躍動的なリズムによる爽やかな語り口が何よりの魅力です。

歯切れのいい明るい江戸弁による、明晰(めいせき:はっきりしている)で明朗(めいろう:明るくほがらか)な言葉は粒立っており落語初心者が聴いても抜群にわかりやすいのでおすすめです。

※言葉が粒立つ・・・はっきりとしていて強調されるべきところがされているような喋り口の事

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私は落語家の中でこの志ん朝さんが一番好きです。初めて聴いたその瞬間にハマりました。

とにかくその独特な話芸は一度聴けばその魅力に惹かれること間違いなしです。

 

▼志ん朝さんのリズムと語り口を堪能できる作品

⚫落語 The Very Best 極一席1000 居残り佐平次[CD]

 

「居残り佐平次(いのこり さへいじ)」は志ん朝さんの十八番演目ですが、志ん朝さん演じる「佐平次」の清々しいまでの「軽さ」が抜群に面白いです。

リズミカルでスピーディーな口調で調子よく人を丸め込む佐平次の魅力に要注目です。

 

② 本格的な江戸っ子

 

「江戸前のダンディズム」「粋な江戸っ子噺家」などといわれる志ん朝さんは、とにかく粋で本格的な江戸っ子落語家であったといいます。

江戸言葉を自在に操る志ん朝さんの話芸を聴いていると、そこにリアルな江戸の情景がありありと浮かび上がってきます。

なぜそうしたものが身についていたのかは、確かなことはわかりません。ただ、やはり「明治に生まれた芸人の家庭で育つ(父は落語家・五代目 古今亭志ん生)」という、宿命的な生い立ちが志ん朝さんの芸人としてのベースにあるのではないかと思います。

並みの芸人のように10代の後半から20代で弟子入りするのと、その家庭で生まれ育つのでは芸人として、そして人としての”成分”が違ってくるのではないでしょうか。

 

▼志ん朝さんの江戸っ子を堪能できる作品

⚫落語 The Very Best 極一席1000 船徳[CD]

 

上の「船徳」は志ん朝さん十八番の”若旦那もの”です。志ん朝さんが演じると江戸の情景がそのままそこに浮かび上がってきます。

 

⚫落語名人会(14)[CD]

 

こちらも志ん朝さんの十八番「芝浜」。志ん朝さんの気持ちのいい江戸弁によって、江戸に生きた夫婦の日常をリアルに描き出しています。

 

③ 芝居的な演技

 

志ん朝さんは、もともとは歌舞伎が大好きで役者を目指していましたが、父親である志ん生さんから反対され断念して落語家になった人です。

しかし落語家になってからも芝居好きは変わらず、役者としても舞台に映画に大活躍しました。

そんな志ん朝さんの落語には芝居の手法が多く取り入れられているといいます。

志ん朝さんは若手や周囲の人に「演技はクサくやらなければ駄目だ」といっていたそうです。わかりやすくいえば「歌舞伎のようにやる」ということ(大袈裟にやる、というニュアンス)。

「落語はお客にさんに伝わらなければ意味がない」と考えていた志ん朝さんは、「クサいということはわかりやすく演じるということ」だと考えていたそうです。

若手にもよく「若いうちからクサくやらなければ駄目だよ」とアドバイスしていたようです。この芝居的な「クサさ」も志ん朝さんの大きな魅力なのです。

 

▼志ん朝さんの芝居を堪能できる作品

⚫落語名人会 4 古今亭志ん朝 「文七元結(ぶんしち もっとい)」[CD]

 

志ん朝さんの「文七元結(ぶんしちもっとい)」は「究極の人情噺」といわれたほどの十八番演目で、芝居的な演技、クサさが随所に光る一席です。

例えばこの話の中の登場人物である「文七(ぶんしち)」が、与えられた財布を投げ捨てようと振りかぶった時に感触で『本物の金だ』と感づくくだりなどは、芝居がかったクサい演技以外の何者でもありません。

 

次のページでは破天荒な言動や行動で好き嫌いが分かれる落語家「七代目立川談志」を紹介します。

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